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橋下発言に抗議し、日本軍性奴隷制の生存者への正義の実現を求める/アムネスティ日本・声明(追記あり)

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橋下大阪市長の発言に抗議し、日本軍性奴隷制の生存者への正義の実現を求める

2013年5月13日、橋下徹大阪市長(日本維新の会共同代表)は記者の取材に対し、「銃弾が飛び交う中で命をかけて走っていく時に、精神的に高ぶっている集団に休息をさせてあげようと思ったら、慰安婦制度が必要なのは誰でも分かる」などと発言したと報じられている(注1)。この発言は、市長という公職者が、旧日本軍による組織的な性暴力と性奴隷制を公然と肯定し、女性を軍隊の性の道具と見なすという重大な女性差別にもとづく発言である。アムネスティ日本は、最大限の強い言葉でこれを非難するものである。

1930年代初めから第二次世界大戦の終結まで、日本・朝鮮・中国をはじめアジアの多くの少女や女性たちが日本軍の「慰安所」で性的な奴隷として働かされた。「慰安婦」にさせられた女性の多くは20歳以下であり、中には、連行されたときわずか12歳という少女らもいたと指摘されている。日本軍は暴力や甘言を使い、成人や未成年の女性たちを連行した。1990年に韓国の女性たちがこの問題を提起し、翌年、キム・ハクスンさんが名乗り出たのをきっかけに、アジア・太平洋地域の多くの被害女性たちが声を上げ始めた。

生存者の一人、イ・オクスンさんは、アムネスティに対し次のように語っている。

「一日に40人から50人の兵隊を取らされました。そんな大人数を相手にするのは不可能でしたから、いやだと言ったら殴られました。女性が言うことを聞かないと、彼らは女性を刃物で切りつけました。なかには刺された人もいます。病気になって死んだ女性もいます。つらい経験でした。食事も十分ではありませんでしたし、睡眠時間も足りませんでした。自殺することさえできませんでした。本当に逃げ出したかった」(注2)

日本では、政治家の発言の中で、強制的に連行されたとは限らないという主張が繰り返し提起されている。しかし、日本軍性奴隷制は、女性たちが暴力や詐欺によって連行されたという問題だけでなく、日本軍が「慰安所」において女性たちを奴隷化した、という点において重大な人権侵害である。被害女性たちは、日本軍によって移動の自由を奪われ、劣悪な環境の中で、数カ月または数年にわたって繰り返し強かん・拷問・虐待を受けた。なお、性産業に従事していた女性たちも「慰安婦」として募集されたが、いったん制度に組み込まれた後は、労働内容や条件を決定する自由も辞める自由もないという状況の中で、同様に、日本軍による強かん・拷問・虐待を受けた(注3)。

これらの日本軍の行為は、当時の国際法(国際条約および国際慣習法)で確立していた「奴隷制の禁止」に違反し、戦争犯罪および人道に対する罪としての強かんに該当する、重大かつ大規模な人権侵害である。また、日本が1932年に批准した国際労働機関(ILO)の強制労働条約にも違反している。この点について、ILOの条約勧告適用専門家委員会は、「いわゆる軍の『慰安所』に閉じこめられた女性たちへの重大な人権侵害と性的暴行にあたる。これは条約の定めた禁止事項に入る」と指摘している。

アムネスティは、日本軍性奴隷制を生き延びた生存者に対して正義を与えるように、長年、日本政府に求めてきた。国際社会もまた、日本政府に対し、生存者に対する公式かつ適切な謝罪と賠償を求めている。2007年以降、米国、カナダ、オランダ、韓国、台湾の各国、そして欧州連合(EU)加盟国全27カ国の意思を代表する欧州議会において、日本政府に対し、被害を受けた女性たちの正義を実現するように求める決議が採択されている。

自由権規約委員会、拷問禁止委員会、女性差別撤廃委員会などの国連の条約機関もまた、日本政府に対し、被害者への謝罪、法的・道義的責任の受け入れ、十分な補償を含む社会復帰策の提供などを勧告している。特に、自由権規約委員会は、「一部の政治家が被害者を誹謗し、あるいは、当該事実を否定し続けていることに、懸念を表明する」とした上で、日本政府に対し、「被害者を誹謗したり、この事実を否定したりするいかなる企てに対しても反駁し制裁を科すべきである」と勧告している(注4)。

今回の橋下市長の発言は、こうした国際社会からの勧告を無視し、重大な人権侵害を肯定する信じがたいものである。これは正義を求め続けてきた被害女性たちの尊厳を正面から否定するものであり、女性を軍隊の性処理の道具と見なすという、あからさまな女性差別発言に他ならない。

アムネスティ日本は、橋下市長に対し、ただちに今回の発言を全面的に撤回し、世界各国の日本軍性奴隷制の生存者への謝罪を行うよう強く求める。

アムネスティ日本は、今回のような発言が出る背景として、明確な謝罪も、法的責任の受け入れも、日本軍性奴隷制を生き残った人びとへの十分な賠償もしてこなかった日本政府のこれまでの姿勢に問題があると考える。日本政府に対し、国際社会からの勧告に従い、次のことを直ちに実行するよう要請する。
• 日本軍性奴隷制の生存者が納得する方法で、彼女たちが被った損害を公に認める。また法的・道義的責任を全面的に受け入れる。
• 生存者に対し、旧日本軍が犯した犯罪について全面的に、はっきりと謝罪する。
• 日本政府は、国際基準にかなった、十分かつ中身のある補償を、生存者が同席する場で、直接、彼女たちに示す。
• 第2次世界大戦に関する歴史の教科書に日本軍性奴隷制度について正しく記載する。


注1:橋下氏慰安婦発言:記者団との一問一答(要旨)毎日新聞(2013年5月14日)

注2:アムネスティ・インターナショナル国際ニュース
「日本:賠償を求める訴えに耳を傾けようとしない


注3:アムネスティ・インターナショナル報告書
『60年を経てなお待ちつづける:日本軍の性奴隷制を生き残った女性に正義を』(2005年10月)、P8〜20参照。


注4:自由権規約委員会 総括所見(2008年)パラグラフ22

http://www.amnesty.or.jp/news/2013/0517_3966.html

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国連の人権条約に基づく拷問禁止委員会(委員会と非政府組織(NGO)との17日の会合)で、日本のNGOが従軍慰安婦は必要だったとの日本維新の会共同代表、橋下徹大阪市長の発言を批判し、21、22の両日に行われる委員会の対日審査で取り上げるよう求めていた
NGO側は在日米軍に風俗業の利用を勧めた橋下市長の発言にも言及。「安倍政権は慰安婦などに関する同様の発言が繰り返されないよう対策を取るべきだ」と要望した。
出席したNGOは慰安婦問題を扱う「女たちの戦争と平和資料館」(東京)やアムネスティ・インターナショナルなど(共同通信)

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橋下氏、辞任を否定 撤回も拒否、報道に反論/共同
http://www.47news.jp/CN/201305/CN2013051601001763.html
日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長は16日、従軍慰安婦発言などをめぐる自身の進退に関し「有権者が判断することだ。自分からは降りない」と述べ、辞任を否定した。

 在日米軍に風俗の活用を求めたことについては「米国の意識を見誤った」と釈明する一方、「『不適切』と言った。それで十分だ」と述べ、発言の撤回を拒否した。
慰安婦に関しては「一貫して容認していない」とし、「当時の慰安婦を容認した」との報道に重ねて反論した。

 韓国人の元慰安婦との24日の面会については「僕の問題意識や、なぜこういう発言をしたのかを伝えたい」と述べた。
面会は約30分間で報道陣に公開する。

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妄言は被害者をふたたび苦しめる/日刊イオ
http://blog.goo.ne.jp/gekkan-io/e/2376b3a3929b175a30987d24b1deff4d
・・・歴史認識はおろか、道徳のかけらもない政治家の発言に、過去に出会ったアジアの被害女性の顔が走馬灯のようによぎる。
 体に刻まれた深い切り傷、性奴隷の過去を家庭にすら話せず、結婚、出産、人生を断念した女性たちは日本の敗戦後の長い年月を苦しみの中で生きてきた。
日本政府の謝罪の一言を待ち続け、どれだけ多くの女性たちがこの世を去っただろうか。妄言を繰り返す政治家に、人生を破壊された女性たちは再び苦しめられている


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