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Channel: 薔薇、または陽だまりの猫
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その程度の映画『永遠のゼロ』を観ました。・・・・/坂井貴司さんから

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 今日、映画『永遠のゼロ』を観ました。
 http://www.eienno-zero.jp/index.html

 感想は「フザケた映画だ!腹が立った!」でした。

 宮崎駿が酷評した理由がわかりました。全くの戦争賛美、神風特攻賛美だったからです。

 戦争賛美映画として糾弾されるべきです。

 そして、実に安っぽいメロドラマです。なる程、感動の涙は出ます。
しかし、計算された涙です。


 安倍晋三首相がこの映画を見て感動の涙を流したそうです。
彼の感性の程度がよくわかりました。

 日中戦争から太平洋戦争にかけてゼロ戦パイロットとして活躍した坂井三郎さんや、軍国少年だったために海軍に入隊して城山三郎さんが『永遠のゼロ』を観たら、「喝!」と言ったでしょう。
 
 飛行や戦闘シーンはよく出来ています。実にリアルです。でも、それだけです。
 
 一番腹が立ったのは物語の設定です。
 
 主人公の宮部久蔵は「トップクラスの飛行技術」を持ちながら、「妻や娘のために生き残ります。死にたくありません」と言って、空中戦を一切しない「海軍一の臆病者」と設定されています。

 フィクションであっても、この設定はありえません。

 主人公の行為は敵前逃亡です。
逮捕され処刑される重罪です。
それなのに、部下や同僚は「臆病者め」と陰でブツブツ文句を言うだけです。
本当のこのようなことをすれば、告発され逮捕されます。または殺されるでしょう。

 零戦パイロットとして日中戦争・太平洋戦争を戦い抜いた坂井三郎さんの戦記『大空のサムライ』(全3巻、読むべき価値がある本です)には、戦場で戦うパイロットたちの絆は、時には肉親以上に堅かったことが書いてあります。
 軍歌『同期の桜』の「血肉分けたる仲ではないが、なぜか気が合うて別れられぬ」の世界でした。
命をかけて渡り合うパイロットたちの結束は、極めて堅いものだったと坂井さんは書きました。

 ですから、妻や娘のために死にたくない、と逃げ回ることなぞあり得なかったはずです。

 原作者百田尚樹の、神風特攻を極端に美化する思想が以下に表れています。

 逃げ回ったことで太平洋戦争末期まで生き延びた宮部が、神風特別攻撃隊を護衛する任務に就き、教官として飛行技術を教えたパイロットたちが死んでいくのを見て、自分が卑怯であるこを恥じ、神風特攻を志願して戦死します。

 同僚や部下が戦っているのに自分だけは逃げ回った男が、神風特攻に「目覚めて」死んでいきます。
こんなことがあり得るでしょうか?
 フィクションであってもこれはひどい。
 
 そして、ジェンダーです。

 この映画では「男は女を守り、女は男に守られる」という、古くさい原則が貫
徹されています。宮部の妻は徹底して男に守られる存在として描かれます。これ
が、ウケるようです。

 この映画は、戦争賛美映画だと一部から評価された『風立ちぬ』どころではありません。
 全くの戦争賛美、神風特攻賛美、「男は強く、女を守らなければならない」マッチョ精神丸出しの映画です。
物語としては三流です。
宮崎駿が酷評したのは当然です。

 ネトウヨや在特会、そして安倍首相が感動の涙を流すのはもっともです。
その程度の価値しかありません。 
 
 こんな映画が大ヒットしていることに、私は暗鬱な気持ちになります。
 
坂井貴司
福岡県
E-Mail:donko@ac.csf.ne.jp
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「郵政民営化は構造改革の本丸」(小泉純一郎前首相)
その現実がここに書かれています・
『伝送便』
http://densobin.ubin-net.jp/
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