2013年参院選・関連テレビ番組を検証する
2013年8月31日
放送を語る会
http://www.geocities.jp/hoso_katarukai/13830monitahoukoku.html
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はじめに 〜対象を「番組」に限定したモニター〜
?、参院選関連番組の概要と問題点
?、“ねじれ解消”が選挙の焦点、という報道の偏向
?、政権政党への批判の弱さ 〜取材した事実を対置する報道はどこへ〜
?、自民党の圧力と政権のメディア戦略の中での選挙
?、一部の番組に公正、公平を欠く内容〜問われるキャスター、コメンテーターの姿勢〜
?、政党間討論番組の問題点と課題
おわりに― 選挙報道番組の質・量の抜本的な改善を
【資料】 各番組モニター担当者のコメントから
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はじめに
〜対象を「番組」に限定したモニター〜
2013年7月の参議院選挙は、自民党が圧勝、公明党とあわせて政権与党が過半数を獲得した一方、民主党が惨敗、という、昨年の総選挙の傾向を引き継ぐ結果となった。
今回の選挙では、ネットによる選挙運動が可能となり、その効果が期待されたが、選挙後の世論調査を見る限り、ネット情報を参考にした有権者の比率はそれほど高くなく、依然としてテレビの影響が大きかったと見られる。
放送を語る会では、テレビの選挙報道の影響を重視する立場から、繰り返し国政選挙の時期にモニター活動を実施してきたが、今回の参院選でもこの活動を継続した。
ただし、今回はモニター対象を大きく変えている。これまではテレビ各局の毎日のニュースを対象にしたが、今回はニュースではなく、定時の「番組」、あるいは特集「番組」を対象にした。多くは週一回の、比較的長い放送時間の番組群である。
したがって、本報告で指摘する参院選報道の問題点は、テレビ選挙報道全体に関するものではなく、「番組」のモニターから導き出された主張である。このことを最初に断っておきたい。
デイリーニュースでは、その日に起こった社会的事件の報道が含まれ、選挙報道に割かれる時間量には限界がある。また、事実や情報の伝達にとどまる、というデイリーニュース特有の傾向や限界も否定できない。
これに比べて、週一回の番組群では、比較的長時間、集中した選挙報道が可能であり、有権者にたいする影響も小さくないはずである。同時に、モニターする側からは、その中にあるテレビ局側の意図や姿勢を検証しやすい面がある。
こうした「番組」の特徴に注目し、各種番組の特徴や傾向を明らかにすることを試みた。この作業は、本来どのような選挙関連番組が望まれるかを考えることでもあった。
モニターした主要な番組は次のとおりである。なお、モニター期間は6月から7月20日までとした。
【NHK】 「日曜討論」(日曜日9:00〜10:00また〜10:30)
「参院選特集・争点を問う」(7月14日9:00〜10:30)
「参院選特集・参院代表に問う」(7月14日21:00〜22:30)
【日本テレビ】「ウエークアップ!ぷらす」(土曜日8:00〜9:25 読売テレビ制作)
「ズームインサタデー」(土曜日5:00〜8:00)
「真相報道バンキシャ!」(日曜日18:00〜18:55)
【テレビ朝日】「報道ステーションSUNDAY」(日曜日10:00〜11:40)
「朝まで生テレビ!」(金曜深夜1:25〜)
「そうだったのか!池上彰の学べるニュース」(不定期)
【TBS】 「みのもんたのサタデーずばッと」(土曜日5:45〜7:30)
「報道特集」(土曜日17:30〜18:50)
「サンデーモーニング」(日曜日8:00〜9:54)
【フジテレビ】「新報道2001」(日曜日7:30〜8:55)
「Mr.サンデー」(日曜日22:00〜23:15 関西テレビ共同制作)
【テレビ東京】「田勢康弘の週刊ニュース新書」(土曜日11:30〜12:05)
「報道特番 池上彰のニッポンの大疑問」(不定期)
上記の一覧にあげた番組の中で、モニターしたところ、それほど大きく参院選を扱わなかったり、主として解説的な内容だった番組、また全く参院選を扱わなかった番組などがあり、それらは考察の対象から外している。
モニターの方法は、これまでの選挙報道モニターと同じく、各番組に1〜2人の担当者を決め、担当者が、番組内容の記録とその日の放送についてのコメントを報告するという方法をとった。記録はメンバー全体で順次読めるように共有し、その上で意見交換を行って本報告をまとめた。
このように、個々の番組のモニターは、担当者の個人的な評価、感想をベースにしている。そのため、本報告に主観的な部分があることを免れない。しかし、批判は可能な限り放送内容の事実に基づいて実証的であるよう心がけた。また、一定期間、多数の番組をモニターしたので、そこから選挙関連番組の共通の傾向や問題点はある程度明らかにできたと考える。
本報告が、あるべき選挙報道番組をテレビ局側に要求していくうえで、一つの問題提起になれば幸いである。
なお、各担当者がモニターする際、昨年の総選挙報道検証の作業と同じように、次の3点に留意して視聴することにした。本報告が、この3つの視点でモニターした結果であることを付記しておきたい。
1)各政党の政策や主張が公平に伝えられたか(各党発言回数・時間配分などに重大な偏りはなかったか)
2)政治的争点がどのように報道されたか (政局報道に偏らず、改憲問題、歴史認識、原発・エネルギー政策、TPP、消費税・経済政策、雇用・賃上げ・社会保障など、重要な争点が深められる報道になっていたか)
3)キャスター・コメンテーターの論評、報道姿勢や編集方針に問題はなかったか
?、参院選関連番組の概要と問題点
この期間の選挙関連番組は、大別すると二つのタイプに分けられる。
ひとつは9党の代表がスタジオ出演する「政党間討論タイプ」、もうひとつは、政党間討論ではなく、番組独自の視点で参院選の争点をとりあげる「論評タイプ」の番組である。
これには、参院選の動向をニュースとして伝えるもの、また特定の政党代表を選んでインタビューする番組が含まれる。
この期間の「政党間討論」の番組数は、NHKが、各政党リレー式インタビューを含む「日曜討論」で3回、特集番組で2回の合計5回、読売テレビ「ウエークアップ!ぷらす」(日本テレビ系列)で3回、TBS「みのもんたのサタデーずばッと」で1回、フジテレビ「新報道2001」で3回、テレビ朝日「朝まで生テレビ」1回、合計13本を数えた。このほかにも複数の政党が出演する番組があったが、全党出演ではないのでカウントしていない。
政党間討論というスタイルをとらない「論評タイプ」の番組の典型はTBS「報道特集」「サンデーモーニング」であろう。そのほか日本テレビ「真相報道バンキシャ!」テレビ朝日「報道ステーションSUNDAY」テレビ東京「田勢康弘の週刊ニュース新書」、ジャーナリスト池上彰氏の名前を冠した番組などがこのタイプになる。
こうしてみると、政党討論がけっこう多いという印象がある。しかしこのスタイルの番組には特有の問題があり、これについては後述する。
「政党間討論」についても、「論評番組」についても、この間の参院選関連番組には概略次のような問題点を指摘できる。
1)いくつかの番組で、「ねじれ解消が焦点の参院選」という決まり文句が使われた。この選挙の位置づけに従うように、世論調査による「自民党圧勝」の議席予想が各局で伝えられた。この点についてはすでに多くの批判がある。
2)選挙期間中の、政権に対する批判、検証の弱さがあり、テレビ局側が調査した事実を政権政党の主張に突き付けるという姿勢を欠いた。この傾向によって、公示前までに、アベノミクスが効果を上げている、という全体的な印象が作り出された。
3)一部の番組で、各党派に公正、公平とは言えない番組の進め方や、政権寄りのキャスター、コメンテーターの発言が目立った。
以下、番組の内容に即して、これらの問題点を見てゆくことにする。
*全文は
http://www.geocities.jp/hoso_katarukai/13830monitahoukoku.html
?、“ねじれ解消”が選挙の焦点、という報道の偏向
?、政権政党への批判の弱さ 〜取材した事実を対置する報道はどこへ〜
? 自民党の圧力と政権のメディア戦略の中での選挙
?、一部の番組に公正、公平を欠く内容
〜問われるキャスター、コメンテーターの姿勢〜
?、政党間討論番組の問題点と課題
おわりに― 選挙報道番組の質・量の抜本的な改善を
【資料】各番組モニター担当者のコメントから
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モニター活動に参加したメンバーに求めた報告には、放送内容の記録と、担当者のコメントの二つの部分が含まれている。
以下に掲げるのは、そのうち、担当者のコメントで比較的重要な提起、指摘のあるものを抜粋したものである。これには個別の番組の批評と、担当した番組全体を通じた批評の二種類がある。
前ページまでの報告本文と違って、視聴したメンバーの個人的感想であり、団体としての統一した見方ではないこと、また数多くのコメントのごく一部であることを断っておきたい。
当会でモニターに取り組んだメンバーは、放送批評の専門家でも、メディア研究者でもない。一般の視聴者の立場で番組を録画し、記録し、批評したものである。
こうした一般市民によるコメントの実例が、同じようなモニター活動をめざす市民の方々の参考になれば幸いである。
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2013年8月31日
放送を語る会
http://www.geocities.jp/hoso_katarukai/13830monitahoukoku.html
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はじめに 〜対象を「番組」に限定したモニター〜
?、参院選関連番組の概要と問題点
?、“ねじれ解消”が選挙の焦点、という報道の偏向
?、政権政党への批判の弱さ 〜取材した事実を対置する報道はどこへ〜
?、自民党の圧力と政権のメディア戦略の中での選挙
?、一部の番組に公正、公平を欠く内容〜問われるキャスター、コメンテーターの姿勢〜
?、政党間討論番組の問題点と課題
おわりに― 選挙報道番組の質・量の抜本的な改善を
【資料】 各番組モニター担当者のコメントから
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はじめに
〜対象を「番組」に限定したモニター〜
2013年7月の参議院選挙は、自民党が圧勝、公明党とあわせて政権与党が過半数を獲得した一方、民主党が惨敗、という、昨年の総選挙の傾向を引き継ぐ結果となった。
今回の選挙では、ネットによる選挙運動が可能となり、その効果が期待されたが、選挙後の世論調査を見る限り、ネット情報を参考にした有権者の比率はそれほど高くなく、依然としてテレビの影響が大きかったと見られる。
放送を語る会では、テレビの選挙報道の影響を重視する立場から、繰り返し国政選挙の時期にモニター活動を実施してきたが、今回の参院選でもこの活動を継続した。
ただし、今回はモニター対象を大きく変えている。これまではテレビ各局の毎日のニュースを対象にしたが、今回はニュースではなく、定時の「番組」、あるいは特集「番組」を対象にした。多くは週一回の、比較的長い放送時間の番組群である。
したがって、本報告で指摘する参院選報道の問題点は、テレビ選挙報道全体に関するものではなく、「番組」のモニターから導き出された主張である。このことを最初に断っておきたい。
デイリーニュースでは、その日に起こった社会的事件の報道が含まれ、選挙報道に割かれる時間量には限界がある。また、事実や情報の伝達にとどまる、というデイリーニュース特有の傾向や限界も否定できない。
これに比べて、週一回の番組群では、比較的長時間、集中した選挙報道が可能であり、有権者にたいする影響も小さくないはずである。同時に、モニターする側からは、その中にあるテレビ局側の意図や姿勢を検証しやすい面がある。
こうした「番組」の特徴に注目し、各種番組の特徴や傾向を明らかにすることを試みた。この作業は、本来どのような選挙関連番組が望まれるかを考えることでもあった。
モニターした主要な番組は次のとおりである。なお、モニター期間は6月から7月20日までとした。
【NHK】 「日曜討論」(日曜日9:00〜10:00また〜10:30)
「参院選特集・争点を問う」(7月14日9:00〜10:30)
「参院選特集・参院代表に問う」(7月14日21:00〜22:30)
【日本テレビ】「ウエークアップ!ぷらす」(土曜日8:00〜9:25 読売テレビ制作)
「ズームインサタデー」(土曜日5:00〜8:00)
「真相報道バンキシャ!」(日曜日18:00〜18:55)
【テレビ朝日】「報道ステーションSUNDAY」(日曜日10:00〜11:40)
「朝まで生テレビ!」(金曜深夜1:25〜)
「そうだったのか!池上彰の学べるニュース」(不定期)
【TBS】 「みのもんたのサタデーずばッと」(土曜日5:45〜7:30)
「報道特集」(土曜日17:30〜18:50)
「サンデーモーニング」(日曜日8:00〜9:54)
【フジテレビ】「新報道2001」(日曜日7:30〜8:55)
「Mr.サンデー」(日曜日22:00〜23:15 関西テレビ共同制作)
【テレビ東京】「田勢康弘の週刊ニュース新書」(土曜日11:30〜12:05)
「報道特番 池上彰のニッポンの大疑問」(不定期)
上記の一覧にあげた番組の中で、モニターしたところ、それほど大きく参院選を扱わなかったり、主として解説的な内容だった番組、また全く参院選を扱わなかった番組などがあり、それらは考察の対象から外している。
モニターの方法は、これまでの選挙報道モニターと同じく、各番組に1〜2人の担当者を決め、担当者が、番組内容の記録とその日の放送についてのコメントを報告するという方法をとった。記録はメンバー全体で順次読めるように共有し、その上で意見交換を行って本報告をまとめた。
このように、個々の番組のモニターは、担当者の個人的な評価、感想をベースにしている。そのため、本報告に主観的な部分があることを免れない。しかし、批判は可能な限り放送内容の事実に基づいて実証的であるよう心がけた。また、一定期間、多数の番組をモニターしたので、そこから選挙関連番組の共通の傾向や問題点はある程度明らかにできたと考える。
本報告が、あるべき選挙報道番組をテレビ局側に要求していくうえで、一つの問題提起になれば幸いである。
なお、各担当者がモニターする際、昨年の総選挙報道検証の作業と同じように、次の3点に留意して視聴することにした。本報告が、この3つの視点でモニターした結果であることを付記しておきたい。
1)各政党の政策や主張が公平に伝えられたか(各党発言回数・時間配分などに重大な偏りはなかったか)
2)政治的争点がどのように報道されたか (政局報道に偏らず、改憲問題、歴史認識、原発・エネルギー政策、TPP、消費税・経済政策、雇用・賃上げ・社会保障など、重要な争点が深められる報道になっていたか)
3)キャスター・コメンテーターの論評、報道姿勢や編集方針に問題はなかったか
?、参院選関連番組の概要と問題点
この期間の選挙関連番組は、大別すると二つのタイプに分けられる。
ひとつは9党の代表がスタジオ出演する「政党間討論タイプ」、もうひとつは、政党間討論ではなく、番組独自の視点で参院選の争点をとりあげる「論評タイプ」の番組である。
これには、参院選の動向をニュースとして伝えるもの、また特定の政党代表を選んでインタビューする番組が含まれる。
この期間の「政党間討論」の番組数は、NHKが、各政党リレー式インタビューを含む「日曜討論」で3回、特集番組で2回の合計5回、読売テレビ「ウエークアップ!ぷらす」(日本テレビ系列)で3回、TBS「みのもんたのサタデーずばッと」で1回、フジテレビ「新報道2001」で3回、テレビ朝日「朝まで生テレビ」1回、合計13本を数えた。このほかにも複数の政党が出演する番組があったが、全党出演ではないのでカウントしていない。
政党間討論というスタイルをとらない「論評タイプ」の番組の典型はTBS「報道特集」「サンデーモーニング」であろう。そのほか日本テレビ「真相報道バンキシャ!」テレビ朝日「報道ステーションSUNDAY」テレビ東京「田勢康弘の週刊ニュース新書」、ジャーナリスト池上彰氏の名前を冠した番組などがこのタイプになる。
こうしてみると、政党討論がけっこう多いという印象がある。しかしこのスタイルの番組には特有の問題があり、これについては後述する。
「政党間討論」についても、「論評番組」についても、この間の参院選関連番組には概略次のような問題点を指摘できる。
1)いくつかの番組で、「ねじれ解消が焦点の参院選」という決まり文句が使われた。この選挙の位置づけに従うように、世論調査による「自民党圧勝」の議席予想が各局で伝えられた。この点についてはすでに多くの批判がある。
2)選挙期間中の、政権に対する批判、検証の弱さがあり、テレビ局側が調査した事実を政権政党の主張に突き付けるという姿勢を欠いた。この傾向によって、公示前までに、アベノミクスが効果を上げている、という全体的な印象が作り出された。
3)一部の番組で、各党派に公正、公平とは言えない番組の進め方や、政権寄りのキャスター、コメンテーターの発言が目立った。
以下、番組の内容に即して、これらの問題点を見てゆくことにする。
*全文は
http://www.geocities.jp/hoso_katarukai/13830monitahoukoku.html
?、“ねじれ解消”が選挙の焦点、という報道の偏向
?、政権政党への批判の弱さ 〜取材した事実を対置する報道はどこへ〜
? 自民党の圧力と政権のメディア戦略の中での選挙
?、一部の番組に公正、公平を欠く内容
〜問われるキャスター、コメンテーターの姿勢〜
?、政党間討論番組の問題点と課題
おわりに― 選挙報道番組の質・量の抜本的な改善を
【資料】各番組モニター担当者のコメントから
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モニター活動に参加したメンバーに求めた報告には、放送内容の記録と、担当者のコメントの二つの部分が含まれている。
以下に掲げるのは、そのうち、担当者のコメントで比較的重要な提起、指摘のあるものを抜粋したものである。これには個別の番組の批評と、担当した番組全体を通じた批評の二種類がある。
前ページまでの報告本文と違って、視聴したメンバーの個人的感想であり、団体としての統一した見方ではないこと、また数多くのコメントのごく一部であることを断っておきたい。
当会でモニターに取り組んだメンバーは、放送批評の専門家でも、メディア研究者でもない。一般の視聴者の立場で番組を録画し、記録し、批評したものである。
こうした一般市民によるコメントの実例が、同じようなモニター活動をめざす市民の方々の参考になれば幸いである。
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