22日橋下徹は、旧日本軍慰安婦をめぐり、米サンフランシスコ市議会が6月に採択した「慰安婦制度を正当化する橋下市長の態度と発言を強く非難する」との非難決議に対し、「間違った事実認識に基づく私への非難を撤回していただきたい」と反論する公開書簡を同市議会に送ったと発表した。
2013年8月13日
サンフランシスコ市議会 様
7月2日付の書簡にて送付いただいた貴市議会の決議文について、7月11日付で収受した旨をここにご報告いたします。
私は、サンフランシスコ市議会が市民の声を代表して、先の私の政治家としての発言に関して、様々な国や地域の人々が懸念を抱いているとご指摘下さいましたことに感謝いたします。
大阪市の最初の姉妹都市として長い協力関係を築いてきたサンフランシスコ市とは、さらなる協力によって、ともによりよい未来を構築していけると考えており、それを強く望みます。
<公開書簡の目的>
そのためにも、サンフランシスコ市議会及び市民の皆様には、私の発言について正確に理解いただく必要があると考えています。
そこで、私の真意を貴市市民の皆様にもお伝えできますよう、貴市議会決議に対する公開書簡の形でご説明させていただきます。
今回の貴市議会の非難決議は、残念ながら、私の発言内容の誤解に基づいていますので、この書簡において私の発言の意図を正確にお伝えし、決議における間違った事実認識に基づく私への非難を撤回していただきたいと思います。
何よりも先ず、私は慰安婦の活用を正当化したことは一度もなく、一連の「慰安婦」関連発言における私の一貫した意図は女性の尊厳と人権の保護、向上です。
このことは、同封した「私のと見解認識(5月27日付)」において詳細に明らかにしておりますので、あらためてお読みいただければ幸いです。
<サンフランシスコ市議会決議における事実認識の誤り その1:在沖縄米軍基地関連発言は撤回しました>
まず、非難決議には、「(2013年5月27日に日本外国特派員協会で開催された記者会見において、私が)沖縄の米兵は現地の女性への性的暴行事件を減らすため『風俗業』を活用すべきだとし、先般行った自らの発言を擁護した」とありますが、これは間違いです。
私はその発言を不適切であると判断し、同記者会見において、同発言を撤回し、謝罪しました。
そもそもこの発言の意図は、一部の心無い在日アメリカ軍兵士によってたびたび起こる性犯罪から沖縄の女性やこどもの安全と人権を守らなければならないという強い危機感にあり、それゆえ在日アメリカ軍基地の司令官に対して、更なる綱紀粛正の徹底を要請したものでした。
しかしながら、その際に述べた「日本の法律で認められた風俗営業の利用」という発言は、日本の法律で認められていない売春・買春を勧めたとの誤報や合法なら女性の尊厳を貶めてもよいのかという誤解を招き、アメリカ軍のみならずアメリカ国民を侮辱することにも繋がる不適切な表現として受け止められたので、私は5月27日の記者会見で発言を撤回し、お詫びを申し上げました。
<サンフランシスコ市議会決議における事実認識の誤り その2:私は慰安婦の利用は許されないと一貫して考えてきました>
5月13日の発言も含め、私は、慰安婦の利用を容認かつ正当化したことは一度もありません。
戦時中の旧日本兵による慰安婦利用は、女性の尊厳と人権を蹂躙する決して許されないものだというのが、一貫した私の認識です。
本人の意に反して、戦地で慰安婦として働かされた方々が被った苦痛、そして深く傷つけられたお気持ちは、筆舌につくしがたいものであることを私は認識しています。
こうした私の認識は、日本政府が表してきた認識と同じものです。
すなわち、1993年に日本政府が元慰安婦へお詫びと反省の意を表した「河野談話」の認識や、元慰安婦の方々に総理大臣のお詫びの手紙とともに償いを行いました「女性のためのアジア平和国民基金(略称アジア女性基金)」の活動の基盤になった認識と同じものであります。
河野談話と当時の総理大臣のお詫びの手紙を同封いたしましたので、ご参考までにご覧下さい。
今ご説明しました私の一連の発言の真意につきましては「私の認識と見解(5月27日付)」に全て書かれていますので、あらためてお読みいただき、ご理解をいただきたいと思います。
このような誤解が生じてしまう背景には「慰安婦」問題の最近の議論の仕方に問題があると考えます。
以下、その点についてご説明させていただきます。
<慰安婦問題の正当化と誇張の両方を拒否し、歴史的検証を進める必要性>
慰安所の設置・管理及び慰安婦の移送に関与した旧日本軍の間違いは、どんなに強調してもし過ぎることはありません。
また、軍の要請を受けて業者が慰安婦を募集したこと、甘言など本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあること、慰安所における生活が痛ましいものであったことは、到底受け入れられるものではありません。
私は、いかなる意味でも、慰安婦問題を正当化する議論に与しません。
他方、慰安婦問題に関する日本非難には、歴史的事実として確認されていない誇張された言説がしばしば見られます。
たとえば、全ての又はほとんどの慰安婦が日本の当局者によって拉致されたかのように、しばしば報じられます。
これは、単純に根拠のない言明です。
この点についての歴史家の間で続いている論争は、日本政府が慰安婦の強制連行に組織的に関与したか否かをめぐるものです。
貴市議会の決議文でも、当時の日本政府が強制連行に「国家の意思により」組織的に関与したのかどうかやその被害の実態について、国際的歴史家や法的権威の共通する結論というご指摘がありますが、その点についてはいまだに事実認定も含めて歴史家の間でも様々な見解や解釈が存在しています。
また、戦時における兵士による女性の人権の蹂躙は、ある種の普遍性を持った人道的問題として、多くの国々に関係があるにもかかわらず、日本の慰安婦問題だけを人類史上極めて特異な人道的問題として捉える見方が世界的に流布されています。
こうした明確になっている事実に基づかない誇張は、慰安婦問題を解決することも、真に犠牲者の心の傷を癒すことも、最終的な和解をもたらすこともありません。
それゆえ、日本が国家の意思として強制連行を行ったのかどうかも含め、慰安婦問題の実態について、例えば、慰安婦への暴力的行為や非人道的対応の実態とその原因などについて、調査することも必要と考えているのです。
私はこれを、日本の過去の正当化のためではなく、慰安婦問題の真の理解と解決をめざしているからこそ、指摘します。
さらなる歴史的検証に取り組むことによって、日本の過去の過ちやその背景がより明らかになり、それに基づいた真摯な反省と、未来においてこのような悲劇を二度と繰り返さないという強い決意につなげていくことができるからです。
元慰安婦の方々が慰安所に連れてこられた経緯には様々な態様があり、元慰安婦の方々が慰安所で置かれた境遇は実に多様であったことが歴史家によって明らかにされてきており、一層の歴史的検証が求められています。
「慰安婦」について、貴議会が決議で使用した「性奴隷」という言葉で一括りにすることは、多様な実態を適切に表現するものではありません。
私も、他の多くの日本人と同様、多くの元慰安婦の方々が被った苦痛が筆舌に尽くし難いものであったことを認識し、誠実な謝罪とお詫びを行うべきとの立場に立つ一方で、「性奴隷」という言葉に違和感を覚えるのは、こうした歴史的事実に関するある程度の知識を有するからです。
残念ながら、世界の多くの人々は、貴市議会と同様、こうした歴史の知識にほとんど触れる機会のないまま、「日本」(政府・軍)は、「20万人」もの女性や少女を「拉致」し、「性奴隷」にしたという、広く報道されている、しかし不確かな一方的主張を、そのまま歴史的事実と信じる傾向にあります。
<反日運動という政治的動機による慰安婦問題という人道的問題の利用と、それによる外交関係への悪影響の可能性>
また、あえて指摘させていただきますと、こうした誇張に基づく懸念すべき運動として挙げられるものは、最近アメリカ国内で広がりをみせている慰安婦像の設置の動きです。
ニュージャージー州バーゲン郡の慰安婦像設置に続き、先日もカリフォルニア州のグレンデール市で慰安婦像が設置されたとの報道がありましたが、こうした運動は日本を的にした非難の意味合いがあるとの抗議にもかかわらず、進められました。
慰安婦問題とどのような関係があるのか理解し難い米国の地方都市において、慰安婦像を設置する運動は、日本という国家・国民の名誉を貶め、強固な同盟関係にある日米関係にマイナスの影響を与える目的があるのではないかと疑わざるを得ません。
報道を見る限りではこのような動きは主に韓国系アメリカ人によって進められているようですが、こうした反日運動は重要なパートナーである日本と韓国の関係をも阻害しています。
今必要なのは、冷静で公平な歴史的検証であり、双方の協力による歴史的検証の努力は、未来に向けた真の日韓関係の構築のためにも必要だと考えます。
誇張した非難に動機づけられた主張は正確な事実認識への姿勢を拒み、慰安婦問題の真の解決、和解に結びつきません。
ニューヨーク州ナッソー郡のホロコースト記念館で計画されているという「慰安婦」の特別展のように、全く違った文脈で起こった慰安婦問題とナチス・ドイツのホロコーストを同列に扱おうとする動きに至っては反日運動の最たるものです。
ホロコーストは一民族の抹殺であり、人類史上例を見ない犯罪です。
慰安婦問題は女性の尊厳と人権を蹂躙する決して許されないものですが、戦時における兵士による女性の人権の蹂躙というある種の普遍性を持った人道的問題と、民族の抹殺という人類史上極めて特異な人道的問題を同一視する論理は、理解し難いと言わざるを得ません。
<人権としての戦場の性の問題の認識への理解、日本以外の国における問題の指摘の必要性、共同調査の提案>
確かに、アメリカ国内には、慰安婦問題の本質が人権問題、女性の搾取の問題であり、慰安婦像の設置や繰り返される慰安婦問題への言及は、決して日本を非難するためではなく、女性の性的搾取という過ちを繰り返さないためであるという主張があります。
しかし、日本という国家・国民を標的にしたネガティブ・キャンペーンではなく、本当に女性の人権問題への取り組みが目的であるというのなら、そのための記念碑は、旧日本軍によって利用された慰安婦だけではなく、「世界各国の軍」によって、戦場において性の対象とされてきた全ての女性に対するそうした行為のすべてを二度と許さないと、世界に向けて宣言するものでなければなりません。
女性の尊厳と人権を尊重する観点からは、軍の関与が無ければよいというものではありません。
また、占領地や戦闘地域における兵士による市民に対する強姦が許されざる蛮行であることは言うまでもありません。
戦時という環境において、日本を含む世界各国の兵士が女性の尊厳を蹂躙する行為を行ってきた、という許容できない普遍的構造自体をこそ、私達は問題にすべきなのです。
日本を含む世界各国は、戦場における性の問題について、自らの問題として過去を直視すべきです。
戦場において、日本だけでなく世界各国の軍によって、女性が性の対象とされてきたこともまた、厳然たる歴史的事実です。
メアリー=ルイーズ=ロバーツ教授の研究が明らかにしたノルマンディー上陸作戦時における米兵の蛮行や、朝鮮戦争やベトナム戦争の時に米兵が利用した慰安所などの例をみれば、アメリカ軍も決して例外ではありません。
また、韓国軍についても、朝鮮戦争時に軍慰安所が設置され、慰安婦が存在したことが、韓国陸軍の公式戦史において明らかにされています。
さらに、ベトナム戦争においては、韓国軍がベトナム人女性に産ませた何千人ものこどもを残してきたことが知られています。
軍の関与があったかどうかにかかわらず、どのような形態であれ、性の対象として女性を利用する行為そのものが女性の尊厳を蹂躙する行為なのです。
旧日本兵の慰安婦問題を相対化しようというような意図は毛頭ありませんが、戦場の性の問題を旧日本兵のみに特有の問題であったかのように扱い、日本だけを非難することによってこの問題を矮小化する限り、世界が直視しなければならない過去の過ちは正されず、今日においても根絶されていない兵士による女性の尊厳の蹂躙問題は解決されないでしょう。
そうした事態を防ぐためにも、すぐにでもあらゆる戦場における性の問題の調査を、必要であれば共同調査を始めようではありませんか。
日本側としては、慰安婦問題について歴史的真相究明を続けることは、歴史の真実を回避せず教訓として直視するという河野談話の精神に沿うことであり、歓迎します。
そうした慰安婦問題のさらなる検討は、世界中の戦場において今なお続く女性への性暴力の問題解決の第一歩になるでしょう。
<戦後日本の恒久平和と人権尊重に向けて重ねてきた努力と実績>
戦後日本は、平和国家として歩む決意をし、歴史の事実を謙虚に受け止め、痛切な反省とお詫び、過去の過ちに対する責任を果たしてきました。
慰安婦問題につきましては、日本と韓国の間では、日韓基本条約と「日韓請求権並びに経済協力協定」において、法的請求権問題が完全かつ最終的に解決された後も、道義的責任を果たすため、「女性のためのアジア平和国民基金」を設立し、元慰安婦の方々へ償い金をお渡しするとともに、総理大臣の直筆署名入りのお詫びの手紙と日本国民からのメッセージを添えて、あらためてお詫び申し上げました。
また、女性の尊厳を傷付けた過去の反省にたち、女性に対する暴力など今日的な問題に対処する事業を援助するなど、誠実に対応してきたのです。
さらには、国連の平和維持活動を通じて国際平和と安全のために貢献してきましたが、わが国の自衛隊は、派遣先で一度も人を殺したことはなく、また他国の国連要員によって引き起こされた性的搾取や虐待といった問題もありません。
米国における慰安婦問題に関連する運動は、残念ながら、慰安婦問題への取り組みを含む日本の戦後の努力や成果を踏まえておらず、平和を志向し人権を尊重する今日の日本に対するフェアな評価から程遠いネガティブ・キャンペーンではないでしょうか。
<事実誤認に基づく決議の撤回と、慰安婦問題という人道的問題を日本に対するネガティブ・キャンペーンという政治的目的に利用する運動に同調しないこと、建設的対話の呼びかけ>
以上に述べたところにより、私は、サンフランシスコ市議会の決議における事実誤認に基づく私への非難を撤回すること、慰安婦問題という人道的問題を日本に対するネガティブ・キャンペーンという政治的目的に利用する運動に同調しないこと、並びに、プロパガンダではなく歴史に関する正確な知識に基づく建設的対話を開始することをこの公開書簡にて求めます。
<大阪市の取り組み、そして共同歴史調査のよびかけ 〜女性に対するあらゆる暴力の根絶をめざして〜>
大阪市では、女性に対する暴力は重大な人権侵害であるという認識のもと、「女性に対するあらゆる暴力の根絶」を掲げて、女性への暴力の防止や被害者の支援体制の整備・充実に取り組んでいます。
私は現大阪市長として、こうした取り組みの一層の強化を図っていく所存です。
大阪市とサンフランシスコ市は、この共通課題の解決に向けて、協働して取り組むことができます。
我々は、戦時及び平時における女性への暴力の問題を看過や矮小化することなく、慰安婦問題を含む過去の全ての出来事を歴史的検証によって白日の下にさらすという共通理解の下、人権尊重のために相互協力すべきです。
そして、女性に対するあらゆる暴力の根絶の努力は、女性の権利の向上や平和の実現にもつながることでしょう。
今回のサンフランシスコ市議会と私との対話がこうした問題解決の糸口になっていくことを期待しております。
<これからのサンフランシスコ市との発展的関係>
とりわけ、サンフランシスコ・大阪姉妹都市協会の活動に象徴されるような両市間の草の根レベルの人と人との絆は、本市にとって貴重な財産です。
長年にわたって相築き上げてきた友好関係を礎とし、これからも真摯な意見交換と様々な交流事業を通じて、お互いの発展に資する交流の継続・発展ができますことを心から願っております。
大阪市長 橋下徹
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【報道発表資料】サンフランシスコ市議会へ公開書簡を送付しました
http://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/keizaisenryaku/0000232661.html
問合せ先:経済戦略局 総務部 国際課 都市間交流担当(06−6615−3767)
平成25年8月22日 14時発表
大阪市では、7月2日付で姉妹都市であるサンフランシスコ市の市議会から送付された決議文に対して、橋下市長からの公開書簡を同市議会あてに送付しました。
なお、本書簡は、8月20日に送達されたことを確認しています。
また、本書簡の内容は、大阪市ホームページ(http://www.city.osaka.lg.jp/)トップページ左上の「市長の部屋」の「私の主張」にも掲載しています。
http://www.city.osaka.lg.jp/keizaisenryaku/page/0000232705.html
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サンフランシスコ市議会
決議
証明書
【第二次世界大戦における性奴隷制度非難決議】
提出者:キム、コーエン、チウ、マー、アヴァロス、カンポス
1930年代から第二次世界大戦にかけて、日本の占領下にあったアジア諸国において、日本が行った性奴隷制度が軍事的に必要なものであり、日本政府により自らの意思に反し強要されて性奴隷になった証拠はないとした橋下市長の最近の一連の発言を非難する決議
2013年6月18日 市議会―法案を修正
賛成者(11名):アヴァロス、ブリード、カンポス、チウ、コーエン、ファレル、キム、マー、タン、ウィーナー、イー
2013年6月18日 市議会―修正法案を可決
賛成者(11名):アヴァロス、ブリード、カンポス、チウ、コーエン、ファレル、キム、マー、タン、ウィーナー、イー
2013年6月18日 市長―未承認のまま返却
カリフォルニア州サンフランシスコ市
この決議について、原本は当事務局に保管しており、正真正銘の写しであることを証明する。
上記を証明するものとして、ここに私の署名及びサンフランシスコ市の公印を押印する。
2013年7月2日
アンジェラ カルヴィロ
市会事務局
2013年6月18日サンフランシスコ市議会における決議(参考訳)
ファイル番号130632
【第二次世界大戦における性奴隷制度非難決議】
1930年代から第二次世界大戦にかけて、日本の占領下にあったアジア諸国において、日本が行った性奴隷制度が軍事的に必要なものであり、日本政府により自らの意思に反し強要されて性奴隷になった証拠はないとした橋下市長の最近の一連の発言を非難する決議
・サンフランシスコ市と大阪市は1957年以来長きに渡る姉妹都市関係を享受しており、両市民は友好を深め、定期的に商業、文化、教育面での交流や協力を通して相互利益を追求してきた。
・そのような友好関係及び互恵関係を深め維持することは、相互理解、信頼関係、尊敬によって成り立ち、両国間及び世界と共通の歴史認識があることや人間の尊厳と権利、歴史の真実を尊重する取り組みなどにもとづく。
・ほとんどの国際的歴史家が、占領下にあった中国、韓国、フィリピン、インドネシア、及び台湾において、推定200,000人もの女性が「慰安婦」(これは日本政府によって広範囲に配置された性奴隷を意味する婉曲表現)として強制的に従事させられたとしている。
・橋下徹市長は、確立された歴史、共通の価値観、及び人間の品性と尊厳の基準に反し、
1937 -1945年の太平洋戦争中、日本により占領されたアジア諸国の女性を用いた性奴隷制度は、戦時下で日本兵に「休息」を与えるために「必要」であったと2013年5月13日に発言し世界を震撼させた。国内外における強い非難にも関わらす、2013年5月19日には、「慰安婦」は、「暴力、脅迫、拉致によって強要された」ことを再び否定した。
・橋下市長の発言は、近隣諸国政府、とりわけ中国及び韓国によって激しく非難された。また、超党派からなる10名の女性議員グループは、橋下氏を「大阪の恥」と非難し、彼の発言について、人権に関し無知で蹂躙するものであるとした。同様に、米国務省は、「言語道断で侮辱的」と非難し、マイク・ホンダ米国議員やスティーブ・イスラエル米国議員らも「卑劣で大変不快」な発言であると糾弾し、日本政府に「明瞭な形で歴史的責任について公式に認め、謝罪し、受け入れるよう」要求した。また、2013年5月30日には、アメリカ、イラン、リベリア、アイルランド、ガテマラの女性ノーベル平和賞受賞者5名により「嘆かわしい発言」であり全面的に謝罪するよう非難を受けた。
・橋下市長は、米国務省及び米国議員のコメントに対し、自らの発言を否定することを拒否し、代わりに「日本だけでなく、米国を含む多くの国々が戦時下において女性の人権を蹂躙した」と述べた。
・アムネスティ・インターナショナルが2013年5月23日に発表した世界における人権の状況に関する年次報告では、「日本軍による性奴隷制度の生存者の正義を求める声を受け入れることを拒み続けている」と日本を非難し、安倍晋三首相及び自由民主党が、ある米国新聞に連名で掲載した「第二次大戦中、日本帝国軍は女性たちに軍の性奴隷となるよう強要したことを否定する」広告について糾弾した。
・橋下市長は、発言に対する広範な批判を受け、2013年5月27日に東京で外国人ジャーナリスト約300人を前に戦時下の慰安所を容認したわけではなく、単に当時の軍司令官らの考え方を説明したものであると述べ、諸外国の軍隊も同様に性的虐待行為を犯している中、日本の「慰安婦」問題だけが不当に糾弾されており、沖縄の米兵は現地の女性への性的暴行事件を減らすため「風俗業」を活用すべきだとし、先般行った自らの発言を擁護した。
・橋下市長は2013年5月27日、日本が第二次世界大戦中に「国家の意思」として女性や少女を最前線の慰安所に送るために拉致、連行したことを明確に否定したが、これは、ほとんどの国際的歴史家や法的権威の共通する結論とは異なる。
決議
・サンフランシスコ市議会は、何十万人というアジア女性を日本軍の性的奴隷へと強要した「慰安婦」制度を正当化し、日本が占領した東アジア及び東南アジアの国々の女性や少女に対する残虐行為の歴史的真実を否定する橋下徹市長の態度と発言を強く非難する。
・サンフランシスコ市議会は、オバマ大統領及び米国議会が、公式に日本政府に対し、日本政府が侵略し占領した国々において行った残虐行為を公式に認め、日本兵が犯した残虐行為を謝罪し、第二次世界大戦中に強制的に性奴隷にされた生存者の方々を含む日本の侵略による被害者に対して賠償を行うとする法案を策定し国会で採決するよう求める。これは、1988年に米国議会が、第二次世界大戦中に日系アメリカ人を不法に拘留したことを認め謝罪する法案を可決したことや、ドイツの第二次世界大戦中の政府及び軍が犯した残虐行為を公式に認めた措置に類似するものである。
・サンフランシスコ市議会は、エドウィン・リー市長に大阪市の姉妹都市であるサンフランシスコ市長として、橋下市長と大阪市議会に本決議を示し、橋下市長に公式に発言を撤回し、日本政府の「慰安婦」制度により強制的に性奴隷にされた生存者に謝罪するよう求める。
・サンフランシスコ市議会は、橋下市長の不快な一連の発言にも関わらず、大阪市民に対し長年に亘り深い尊敬と愛情を持っており、1957年に調印した姉妹都市締結を礎に、今後も友情、協力、及び交流プログラムの継続を希望し取り組むこととする。
・サンフランシスコ市議会は、市会事務局に本決議をオバマ大統領、ケリー米国務長官、橋下市長、大阪市会議員、米国議会サンフランシスコ代表団、ダイアン・ファインスタイン米国上院議員、バーバラ・ボクサー米国上院議員、マイク・ホンダ米国下院議員、スティーブ・イスラエル米国下院議員に送付するよう要請する。
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2013年8月13日
サンフランシスコ市議会 様
7月2日付の書簡にて送付いただいた貴市議会の決議文について、7月11日付で収受した旨をここにご報告いたします。
私は、サンフランシスコ市議会が市民の声を代表して、先の私の政治家としての発言に関して、様々な国や地域の人々が懸念を抱いているとご指摘下さいましたことに感謝いたします。
大阪市の最初の姉妹都市として長い協力関係を築いてきたサンフランシスコ市とは、さらなる協力によって、ともによりよい未来を構築していけると考えており、それを強く望みます。
<公開書簡の目的>
そのためにも、サンフランシスコ市議会及び市民の皆様には、私の発言について正確に理解いただく必要があると考えています。
そこで、私の真意を貴市市民の皆様にもお伝えできますよう、貴市議会決議に対する公開書簡の形でご説明させていただきます。
今回の貴市議会の非難決議は、残念ながら、私の発言内容の誤解に基づいていますので、この書簡において私の発言の意図を正確にお伝えし、決議における間違った事実認識に基づく私への非難を撤回していただきたいと思います。
何よりも先ず、私は慰安婦の活用を正当化したことは一度もなく、一連の「慰安婦」関連発言における私の一貫した意図は女性の尊厳と人権の保護、向上です。
このことは、同封した「私のと見解認識(5月27日付)」において詳細に明らかにしておりますので、あらためてお読みいただければ幸いです。
<サンフランシスコ市議会決議における事実認識の誤り その1:在沖縄米軍基地関連発言は撤回しました>
まず、非難決議には、「(2013年5月27日に日本外国特派員協会で開催された記者会見において、私が)沖縄の米兵は現地の女性への性的暴行事件を減らすため『風俗業』を活用すべきだとし、先般行った自らの発言を擁護した」とありますが、これは間違いです。
私はその発言を不適切であると判断し、同記者会見において、同発言を撤回し、謝罪しました。
そもそもこの発言の意図は、一部の心無い在日アメリカ軍兵士によってたびたび起こる性犯罪から沖縄の女性やこどもの安全と人権を守らなければならないという強い危機感にあり、それゆえ在日アメリカ軍基地の司令官に対して、更なる綱紀粛正の徹底を要請したものでした。
しかしながら、その際に述べた「日本の法律で認められた風俗営業の利用」という発言は、日本の法律で認められていない売春・買春を勧めたとの誤報や合法なら女性の尊厳を貶めてもよいのかという誤解を招き、アメリカ軍のみならずアメリカ国民を侮辱することにも繋がる不適切な表現として受け止められたので、私は5月27日の記者会見で発言を撤回し、お詫びを申し上げました。
<サンフランシスコ市議会決議における事実認識の誤り その2:私は慰安婦の利用は許されないと一貫して考えてきました>
5月13日の発言も含め、私は、慰安婦の利用を容認かつ正当化したことは一度もありません。
戦時中の旧日本兵による慰安婦利用は、女性の尊厳と人権を蹂躙する決して許されないものだというのが、一貫した私の認識です。
本人の意に反して、戦地で慰安婦として働かされた方々が被った苦痛、そして深く傷つけられたお気持ちは、筆舌につくしがたいものであることを私は認識しています。
こうした私の認識は、日本政府が表してきた認識と同じものです。
すなわち、1993年に日本政府が元慰安婦へお詫びと反省の意を表した「河野談話」の認識や、元慰安婦の方々に総理大臣のお詫びの手紙とともに償いを行いました「女性のためのアジア平和国民基金(略称アジア女性基金)」の活動の基盤になった認識と同じものであります。
河野談話と当時の総理大臣のお詫びの手紙を同封いたしましたので、ご参考までにご覧下さい。
今ご説明しました私の一連の発言の真意につきましては「私の認識と見解(5月27日付)」に全て書かれていますので、あらためてお読みいただき、ご理解をいただきたいと思います。
このような誤解が生じてしまう背景には「慰安婦」問題の最近の議論の仕方に問題があると考えます。
以下、その点についてご説明させていただきます。
<慰安婦問題の正当化と誇張の両方を拒否し、歴史的検証を進める必要性>
慰安所の設置・管理及び慰安婦の移送に関与した旧日本軍の間違いは、どんなに強調してもし過ぎることはありません。
また、軍の要請を受けて業者が慰安婦を募集したこと、甘言など本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあること、慰安所における生活が痛ましいものであったことは、到底受け入れられるものではありません。
私は、いかなる意味でも、慰安婦問題を正当化する議論に与しません。
他方、慰安婦問題に関する日本非難には、歴史的事実として確認されていない誇張された言説がしばしば見られます。
たとえば、全ての又はほとんどの慰安婦が日本の当局者によって拉致されたかのように、しばしば報じられます。
これは、単純に根拠のない言明です。
この点についての歴史家の間で続いている論争は、日本政府が慰安婦の強制連行に組織的に関与したか否かをめぐるものです。
貴市議会の決議文でも、当時の日本政府が強制連行に「国家の意思により」組織的に関与したのかどうかやその被害の実態について、国際的歴史家や法的権威の共通する結論というご指摘がありますが、その点についてはいまだに事実認定も含めて歴史家の間でも様々な見解や解釈が存在しています。
また、戦時における兵士による女性の人権の蹂躙は、ある種の普遍性を持った人道的問題として、多くの国々に関係があるにもかかわらず、日本の慰安婦問題だけを人類史上極めて特異な人道的問題として捉える見方が世界的に流布されています。
こうした明確になっている事実に基づかない誇張は、慰安婦問題を解決することも、真に犠牲者の心の傷を癒すことも、最終的な和解をもたらすこともありません。
それゆえ、日本が国家の意思として強制連行を行ったのかどうかも含め、慰安婦問題の実態について、例えば、慰安婦への暴力的行為や非人道的対応の実態とその原因などについて、調査することも必要と考えているのです。
私はこれを、日本の過去の正当化のためではなく、慰安婦問題の真の理解と解決をめざしているからこそ、指摘します。
さらなる歴史的検証に取り組むことによって、日本の過去の過ちやその背景がより明らかになり、それに基づいた真摯な反省と、未来においてこのような悲劇を二度と繰り返さないという強い決意につなげていくことができるからです。
元慰安婦の方々が慰安所に連れてこられた経緯には様々な態様があり、元慰安婦の方々が慰安所で置かれた境遇は実に多様であったことが歴史家によって明らかにされてきており、一層の歴史的検証が求められています。
「慰安婦」について、貴議会が決議で使用した「性奴隷」という言葉で一括りにすることは、多様な実態を適切に表現するものではありません。
私も、他の多くの日本人と同様、多くの元慰安婦の方々が被った苦痛が筆舌に尽くし難いものであったことを認識し、誠実な謝罪とお詫びを行うべきとの立場に立つ一方で、「性奴隷」という言葉に違和感を覚えるのは、こうした歴史的事実に関するある程度の知識を有するからです。
残念ながら、世界の多くの人々は、貴市議会と同様、こうした歴史の知識にほとんど触れる機会のないまま、「日本」(政府・軍)は、「20万人」もの女性や少女を「拉致」し、「性奴隷」にしたという、広く報道されている、しかし不確かな一方的主張を、そのまま歴史的事実と信じる傾向にあります。
<反日運動という政治的動機による慰安婦問題という人道的問題の利用と、それによる外交関係への悪影響の可能性>
また、あえて指摘させていただきますと、こうした誇張に基づく懸念すべき運動として挙げられるものは、最近アメリカ国内で広がりをみせている慰安婦像の設置の動きです。
ニュージャージー州バーゲン郡の慰安婦像設置に続き、先日もカリフォルニア州のグレンデール市で慰安婦像が設置されたとの報道がありましたが、こうした運動は日本を的にした非難の意味合いがあるとの抗議にもかかわらず、進められました。
慰安婦問題とどのような関係があるのか理解し難い米国の地方都市において、慰安婦像を設置する運動は、日本という国家・国民の名誉を貶め、強固な同盟関係にある日米関係にマイナスの影響を与える目的があるのではないかと疑わざるを得ません。
報道を見る限りではこのような動きは主に韓国系アメリカ人によって進められているようですが、こうした反日運動は重要なパートナーである日本と韓国の関係をも阻害しています。
今必要なのは、冷静で公平な歴史的検証であり、双方の協力による歴史的検証の努力は、未来に向けた真の日韓関係の構築のためにも必要だと考えます。
誇張した非難に動機づけられた主張は正確な事実認識への姿勢を拒み、慰安婦問題の真の解決、和解に結びつきません。
ニューヨーク州ナッソー郡のホロコースト記念館で計画されているという「慰安婦」の特別展のように、全く違った文脈で起こった慰安婦問題とナチス・ドイツのホロコーストを同列に扱おうとする動きに至っては反日運動の最たるものです。
ホロコーストは一民族の抹殺であり、人類史上例を見ない犯罪です。
慰安婦問題は女性の尊厳と人権を蹂躙する決して許されないものですが、戦時における兵士による女性の人権の蹂躙というある種の普遍性を持った人道的問題と、民族の抹殺という人類史上極めて特異な人道的問題を同一視する論理は、理解し難いと言わざるを得ません。
<人権としての戦場の性の問題の認識への理解、日本以外の国における問題の指摘の必要性、共同調査の提案>
確かに、アメリカ国内には、慰安婦問題の本質が人権問題、女性の搾取の問題であり、慰安婦像の設置や繰り返される慰安婦問題への言及は、決して日本を非難するためではなく、女性の性的搾取という過ちを繰り返さないためであるという主張があります。
しかし、日本という国家・国民を標的にしたネガティブ・キャンペーンではなく、本当に女性の人権問題への取り組みが目的であるというのなら、そのための記念碑は、旧日本軍によって利用された慰安婦だけではなく、「世界各国の軍」によって、戦場において性の対象とされてきた全ての女性に対するそうした行為のすべてを二度と許さないと、世界に向けて宣言するものでなければなりません。
女性の尊厳と人権を尊重する観点からは、軍の関与が無ければよいというものではありません。
また、占領地や戦闘地域における兵士による市民に対する強姦が許されざる蛮行であることは言うまでもありません。
戦時という環境において、日本を含む世界各国の兵士が女性の尊厳を蹂躙する行為を行ってきた、という許容できない普遍的構造自体をこそ、私達は問題にすべきなのです。
日本を含む世界各国は、戦場における性の問題について、自らの問題として過去を直視すべきです。
戦場において、日本だけでなく世界各国の軍によって、女性が性の対象とされてきたこともまた、厳然たる歴史的事実です。
メアリー=ルイーズ=ロバーツ教授の研究が明らかにしたノルマンディー上陸作戦時における米兵の蛮行や、朝鮮戦争やベトナム戦争の時に米兵が利用した慰安所などの例をみれば、アメリカ軍も決して例外ではありません。
また、韓国軍についても、朝鮮戦争時に軍慰安所が設置され、慰安婦が存在したことが、韓国陸軍の公式戦史において明らかにされています。
さらに、ベトナム戦争においては、韓国軍がベトナム人女性に産ませた何千人ものこどもを残してきたことが知られています。
軍の関与があったかどうかにかかわらず、どのような形態であれ、性の対象として女性を利用する行為そのものが女性の尊厳を蹂躙する行為なのです。
旧日本兵の慰安婦問題を相対化しようというような意図は毛頭ありませんが、戦場の性の問題を旧日本兵のみに特有の問題であったかのように扱い、日本だけを非難することによってこの問題を矮小化する限り、世界が直視しなければならない過去の過ちは正されず、今日においても根絶されていない兵士による女性の尊厳の蹂躙問題は解決されないでしょう。
そうした事態を防ぐためにも、すぐにでもあらゆる戦場における性の問題の調査を、必要であれば共同調査を始めようではありませんか。
日本側としては、慰安婦問題について歴史的真相究明を続けることは、歴史の真実を回避せず教訓として直視するという河野談話の精神に沿うことであり、歓迎します。
そうした慰安婦問題のさらなる検討は、世界中の戦場において今なお続く女性への性暴力の問題解決の第一歩になるでしょう。
<戦後日本の恒久平和と人権尊重に向けて重ねてきた努力と実績>
戦後日本は、平和国家として歩む決意をし、歴史の事実を謙虚に受け止め、痛切な反省とお詫び、過去の過ちに対する責任を果たしてきました。
慰安婦問題につきましては、日本と韓国の間では、日韓基本条約と「日韓請求権並びに経済協力協定」において、法的請求権問題が完全かつ最終的に解決された後も、道義的責任を果たすため、「女性のためのアジア平和国民基金」を設立し、元慰安婦の方々へ償い金をお渡しするとともに、総理大臣の直筆署名入りのお詫びの手紙と日本国民からのメッセージを添えて、あらためてお詫び申し上げました。
また、女性の尊厳を傷付けた過去の反省にたち、女性に対する暴力など今日的な問題に対処する事業を援助するなど、誠実に対応してきたのです。
さらには、国連の平和維持活動を通じて国際平和と安全のために貢献してきましたが、わが国の自衛隊は、派遣先で一度も人を殺したことはなく、また他国の国連要員によって引き起こされた性的搾取や虐待といった問題もありません。
米国における慰安婦問題に関連する運動は、残念ながら、慰安婦問題への取り組みを含む日本の戦後の努力や成果を踏まえておらず、平和を志向し人権を尊重する今日の日本に対するフェアな評価から程遠いネガティブ・キャンペーンではないでしょうか。
<事実誤認に基づく決議の撤回と、慰安婦問題という人道的問題を日本に対するネガティブ・キャンペーンという政治的目的に利用する運動に同調しないこと、建設的対話の呼びかけ>
以上に述べたところにより、私は、サンフランシスコ市議会の決議における事実誤認に基づく私への非難を撤回すること、慰安婦問題という人道的問題を日本に対するネガティブ・キャンペーンという政治的目的に利用する運動に同調しないこと、並びに、プロパガンダではなく歴史に関する正確な知識に基づく建設的対話を開始することをこの公開書簡にて求めます。
<大阪市の取り組み、そして共同歴史調査のよびかけ 〜女性に対するあらゆる暴力の根絶をめざして〜>
大阪市では、女性に対する暴力は重大な人権侵害であるという認識のもと、「女性に対するあらゆる暴力の根絶」を掲げて、女性への暴力の防止や被害者の支援体制の整備・充実に取り組んでいます。
私は現大阪市長として、こうした取り組みの一層の強化を図っていく所存です。
大阪市とサンフランシスコ市は、この共通課題の解決に向けて、協働して取り組むことができます。
我々は、戦時及び平時における女性への暴力の問題を看過や矮小化することなく、慰安婦問題を含む過去の全ての出来事を歴史的検証によって白日の下にさらすという共通理解の下、人権尊重のために相互協力すべきです。
そして、女性に対するあらゆる暴力の根絶の努力は、女性の権利の向上や平和の実現にもつながることでしょう。
今回のサンフランシスコ市議会と私との対話がこうした問題解決の糸口になっていくことを期待しております。
<これからのサンフランシスコ市との発展的関係>
とりわけ、サンフランシスコ・大阪姉妹都市協会の活動に象徴されるような両市間の草の根レベルの人と人との絆は、本市にとって貴重な財産です。
長年にわたって相築き上げてきた友好関係を礎とし、これからも真摯な意見交換と様々な交流事業を通じて、お互いの発展に資する交流の継続・発展ができますことを心から願っております。
大阪市長 橋下徹
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【報道発表資料】サンフランシスコ市議会へ公開書簡を送付しました
http://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/keizaisenryaku/0000232661.html
問合せ先:経済戦略局 総務部 国際課 都市間交流担当(06−6615−3767)
平成25年8月22日 14時発表
大阪市では、7月2日付で姉妹都市であるサンフランシスコ市の市議会から送付された決議文に対して、橋下市長からの公開書簡を同市議会あてに送付しました。
なお、本書簡は、8月20日に送達されたことを確認しています。
また、本書簡の内容は、大阪市ホームページ(http://www.city.osaka.lg.jp/)トップページ左上の「市長の部屋」の「私の主張」にも掲載しています。
http://www.city.osaka.lg.jp/keizaisenryaku/page/0000232705.html
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サンフランシスコ市議会
決議
証明書
【第二次世界大戦における性奴隷制度非難決議】
提出者:キム、コーエン、チウ、マー、アヴァロス、カンポス
1930年代から第二次世界大戦にかけて、日本の占領下にあったアジア諸国において、日本が行った性奴隷制度が軍事的に必要なものであり、日本政府により自らの意思に反し強要されて性奴隷になった証拠はないとした橋下市長の最近の一連の発言を非難する決議
2013年6月18日 市議会―法案を修正
賛成者(11名):アヴァロス、ブリード、カンポス、チウ、コーエン、ファレル、キム、マー、タン、ウィーナー、イー
2013年6月18日 市議会―修正法案を可決
賛成者(11名):アヴァロス、ブリード、カンポス、チウ、コーエン、ファレル、キム、マー、タン、ウィーナー、イー
2013年6月18日 市長―未承認のまま返却
カリフォルニア州サンフランシスコ市
この決議について、原本は当事務局に保管しており、正真正銘の写しであることを証明する。
上記を証明するものとして、ここに私の署名及びサンフランシスコ市の公印を押印する。
2013年7月2日
アンジェラ カルヴィロ
市会事務局
2013年6月18日サンフランシスコ市議会における決議(参考訳)
ファイル番号130632
【第二次世界大戦における性奴隷制度非難決議】
1930年代から第二次世界大戦にかけて、日本の占領下にあったアジア諸国において、日本が行った性奴隷制度が軍事的に必要なものであり、日本政府により自らの意思に反し強要されて性奴隷になった証拠はないとした橋下市長の最近の一連の発言を非難する決議
・サンフランシスコ市と大阪市は1957年以来長きに渡る姉妹都市関係を享受しており、両市民は友好を深め、定期的に商業、文化、教育面での交流や協力を通して相互利益を追求してきた。
・そのような友好関係及び互恵関係を深め維持することは、相互理解、信頼関係、尊敬によって成り立ち、両国間及び世界と共通の歴史認識があることや人間の尊厳と権利、歴史の真実を尊重する取り組みなどにもとづく。
・ほとんどの国際的歴史家が、占領下にあった中国、韓国、フィリピン、インドネシア、及び台湾において、推定200,000人もの女性が「慰安婦」(これは日本政府によって広範囲に配置された性奴隷を意味する婉曲表現)として強制的に従事させられたとしている。
・橋下徹市長は、確立された歴史、共通の価値観、及び人間の品性と尊厳の基準に反し、
1937 -1945年の太平洋戦争中、日本により占領されたアジア諸国の女性を用いた性奴隷制度は、戦時下で日本兵に「休息」を与えるために「必要」であったと2013年5月13日に発言し世界を震撼させた。国内外における強い非難にも関わらす、2013年5月19日には、「慰安婦」は、「暴力、脅迫、拉致によって強要された」ことを再び否定した。
・橋下市長の発言は、近隣諸国政府、とりわけ中国及び韓国によって激しく非難された。また、超党派からなる10名の女性議員グループは、橋下氏を「大阪の恥」と非難し、彼の発言について、人権に関し無知で蹂躙するものであるとした。同様に、米国務省は、「言語道断で侮辱的」と非難し、マイク・ホンダ米国議員やスティーブ・イスラエル米国議員らも「卑劣で大変不快」な発言であると糾弾し、日本政府に「明瞭な形で歴史的責任について公式に認め、謝罪し、受け入れるよう」要求した。また、2013年5月30日には、アメリカ、イラン、リベリア、アイルランド、ガテマラの女性ノーベル平和賞受賞者5名により「嘆かわしい発言」であり全面的に謝罪するよう非難を受けた。
・橋下市長は、米国務省及び米国議員のコメントに対し、自らの発言を否定することを拒否し、代わりに「日本だけでなく、米国を含む多くの国々が戦時下において女性の人権を蹂躙した」と述べた。
・アムネスティ・インターナショナルが2013年5月23日に発表した世界における人権の状況に関する年次報告では、「日本軍による性奴隷制度の生存者の正義を求める声を受け入れることを拒み続けている」と日本を非難し、安倍晋三首相及び自由民主党が、ある米国新聞に連名で掲載した「第二次大戦中、日本帝国軍は女性たちに軍の性奴隷となるよう強要したことを否定する」広告について糾弾した。
・橋下市長は、発言に対する広範な批判を受け、2013年5月27日に東京で外国人ジャーナリスト約300人を前に戦時下の慰安所を容認したわけではなく、単に当時の軍司令官らの考え方を説明したものであると述べ、諸外国の軍隊も同様に性的虐待行為を犯している中、日本の「慰安婦」問題だけが不当に糾弾されており、沖縄の米兵は現地の女性への性的暴行事件を減らすため「風俗業」を活用すべきだとし、先般行った自らの発言を擁護した。
・橋下市長は2013年5月27日、日本が第二次世界大戦中に「国家の意思」として女性や少女を最前線の慰安所に送るために拉致、連行したことを明確に否定したが、これは、ほとんどの国際的歴史家や法的権威の共通する結論とは異なる。
決議
・サンフランシスコ市議会は、何十万人というアジア女性を日本軍の性的奴隷へと強要した「慰安婦」制度を正当化し、日本が占領した東アジア及び東南アジアの国々の女性や少女に対する残虐行為の歴史的真実を否定する橋下徹市長の態度と発言を強く非難する。
・サンフランシスコ市議会は、オバマ大統領及び米国議会が、公式に日本政府に対し、日本政府が侵略し占領した国々において行った残虐行為を公式に認め、日本兵が犯した残虐行為を謝罪し、第二次世界大戦中に強制的に性奴隷にされた生存者の方々を含む日本の侵略による被害者に対して賠償を行うとする法案を策定し国会で採決するよう求める。これは、1988年に米国議会が、第二次世界大戦中に日系アメリカ人を不法に拘留したことを認め謝罪する法案を可決したことや、ドイツの第二次世界大戦中の政府及び軍が犯した残虐行為を公式に認めた措置に類似するものである。
・サンフランシスコ市議会は、エドウィン・リー市長に大阪市の姉妹都市であるサンフランシスコ市長として、橋下市長と大阪市議会に本決議を示し、橋下市長に公式に発言を撤回し、日本政府の「慰安婦」制度により強制的に性奴隷にされた生存者に謝罪するよう求める。
・サンフランシスコ市議会は、橋下市長の不快な一連の発言にも関わらず、大阪市民に対し長年に亘り深い尊敬と愛情を持っており、1957年に調印した姉妹都市締結を礎に、今後も友情、協力、及び交流プログラムの継続を希望し取り組むこととする。
・サンフランシスコ市議会は、市会事務局に本決議をオバマ大統領、ケリー米国務長官、橋下市長、大阪市会議員、米国議会サンフランシスコ代表団、ダイアン・ファインスタイン米国上院議員、バーバラ・ボクサー米国上院議員、マイク・ホンダ米国下院議員、スティーブ・イスラエル米国下院議員に送付するよう要請する。
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