http://jcj-daily.seesaa.net/article/358253406.html
小選挙区制に根本的欠陥 多様な民意の排除
──社会の統合機能低下 「身を切る」なら政党助成金こそ──
前回の選挙から得票数を減らしたにもかかわらず、自民党が過半数の議席を獲得した昨年の総選挙結果は、改めて小選挙区制の欠陥を浮き彫りにした。
現在の小選挙区比例代表並立制は、1993年の「政治改革」の時に導入が図られ、94年に区割り法案が成立。マスメディアもこの制度を強力に支持し世論に影響を与えた。当時から小選挙区制の矛盾を指摘してきた五十嵐仁氏は、マスメディアは当事者意識を持って小選挙区制について検証すべきだという。
●――小選挙区制度の矛盾を示した総選挙結果でした。
小選挙区制は、本来、選挙に求められている機能を果たせません。選挙は選出母体が代表を選ぶ仕組みですから、選出母体と代表の関係が歪むことがあってはならないからです。しかし、この点で小選挙区制には根本的な欠陥があります。
第一に、票の分布によっては、総得票数の多い政党より少ない政党が多数の議席を占めることがあります。実際にイギリスでは2回ありました。
第二に、少数の得票で多数の議席をとることができる。5人が立候補し、うち一人が21%の得票、一人が19%で残りの候補が20%だったら、21%で当選できる。全選挙区でそうなれば、議席を独占することも可能で、あとの89%は議席に反映されない「死票」になります。
今回の選挙では「死票」が56%と半数を超え、約3730万票の票が「殺され」ました。その結果、自民党は小選挙区でも比例区でも得票数を減らしたにもかかわらず、議席を増やして勝利したわけです。
第三に、僅差によって、簡単に政権交代が起きます。直近でみても、小泉郵政選挙では自民党が大勝し、09年の選挙では民主党が大勝して政権交代、今回の選挙ではまた自民党が勝って政権が交代しました。
こうして政治が不安定になります。今回のように、有権者の4分の1(小選挙区)、6分の1(比例区)しか支持していないのに、望まれざる政権交代も起きる。
第四に、「選挙互助会」のような政党ができることです。その典型は民主党でしょう。考え方がバラバラなのに、当選のために一緒になり、当選できないとなると飛び出す。
今回は当選目的の政党間の野合も目立ちました。政党の形もゆがめられたのです。
さらにもう一つ、「一票の格差」の問題があります。小選挙区では、どうしても区割りをいじらなければなりません。中選挙区制でも一票の不平等がありましたが、小選挙区では定数を変えることができず、格差の是正はより難しくなります。
・・・以下全文は
http://jcj-daily.seesaa.net/article/358253406.html
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五十嵐仁(いがらし・じん)=1951年生まれ。法政大学大原社会問題研究所教授。政治学、労働問題等を研究。著書に「一目で分かる小選挙区比例代表並立制」(93年)「徹底検証 政治改革神話」(97年)いずれも旬報社。「18歳から考える日本の政治」(2010年)法律文化社。ブログは「五十嵐仁の転成仁語」
http://igajin.blog.so-net.ne.jp/
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現在の小選挙区比例代表並立制は、1993年の「政治改革」の時に導入が図られ、94年に区割り法案が成立。マスメディアもこの制度を強力に支持し世論に影響を与えた。当時から小選挙区制の矛盾を指摘してきた五十嵐仁氏は、マスメディアは当事者意識を持って小選挙区制について検証すべきだという。
●――小選挙区制度の矛盾を示した総選挙結果でした。
小選挙区制は、本来、選挙に求められている機能を果たせません。選挙は選出母体が代表を選ぶ仕組みですから、選出母体と代表の関係が歪むことがあってはならないからです。しかし、この点で小選挙区制には根本的な欠陥があります。
第一に、票の分布によっては、総得票数の多い政党より少ない政党が多数の議席を占めることがあります。実際にイギリスでは2回ありました。
第二に、少数の得票で多数の議席をとることができる。5人が立候補し、うち一人が21%の得票、一人が19%で残りの候補が20%だったら、21%で当選できる。全選挙区でそうなれば、議席を独占することも可能で、あとの89%は議席に反映されない「死票」になります。
今回の選挙では「死票」が56%と半数を超え、約3730万票の票が「殺され」ました。その結果、自民党は小選挙区でも比例区でも得票数を減らしたにもかかわらず、議席を増やして勝利したわけです。
第三に、僅差によって、簡単に政権交代が起きます。直近でみても、小泉郵政選挙では自民党が大勝し、09年の選挙では民主党が大勝して政権交代、今回の選挙ではまた自民党が勝って政権が交代しました。
こうして政治が不安定になります。今回のように、有権者の4分の1(小選挙区)、6分の1(比例区)しか支持していないのに、望まれざる政権交代も起きる。
第四に、「選挙互助会」のような政党ができることです。その典型は民主党でしょう。考え方がバラバラなのに、当選のために一緒になり、当選できないとなると飛び出す。
今回は当選目的の政党間の野合も目立ちました。政党の形もゆがめられたのです。
さらにもう一つ、「一票の格差」の問題があります。小選挙区では、どうしても区割りをいじらなければなりません。中選挙区制でも一票の不平等がありましたが、小選挙区では定数を変えることができず、格差の是正はより難しくなります。
・・・以下全文は
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五十嵐仁(いがらし・じん)=1951年生まれ。法政大学大原社会問題研究所教授。政治学、労働問題等を研究。著書に「一目で分かる小選挙区比例代表並立制」(93年)「徹底検証 政治改革神話」(97年)いずれも旬報社。「18歳から考える日本の政治」(2010年)法律文化社。ブログは「五十嵐仁の転成仁語」
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