▽ダボス会議 テーマは「資本主義」=「時代遅れの資本主義」の変革
スイス東部のダボスで世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)が
開催されている。42回目で日程は25〜29日。時事通信によるとドイツのメルケ
ル首相、キャメロン英首相、ガイトナー米財務長官、国際通貨基金(IMF)のラガ
ルド専務理事らが討論会に参加する。
世界の政財界の指導者たちは、いまや「時代遅れ」で「崩壊しつつある」資本主義
のシステムを改革する方策を、早急に見つけ出すことができるかが問われている。
日本の野田首相は欠席し、菅直人前首相に代理としての出席を要請、菅氏が東日本
大震災からの復興や東京電力福島第1原発事故の現状を報告することになった。ま
た、海外でも活躍する映画俳優の渡辺謙氏は、被災地を繰り返し訪れ、またハリウッ
ドスターにも呼びかけて被災者を励ますためのサイトを立ち上げるなどしてきた。日
本の俳優として初めて招待を受けた。東日本大震災の復興などについて話すほか、震
災から1年に向けて渡辺さん自身が被災地での復興の動きを取材し、NHKが共同制
作に参加したドキュメンタリーがダボス市内で上映される。
資本主義の改革議論=スイスでダボス会議、25日開幕(時事通信〜朝日新聞20日)
http://www.asahi.com/international/jiji/JJT201201200077.html
▽シュワブ会長「今の形の資本主義がわれわれの世界に存在する余地はない」
AFPはダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)開幕の前日24日、<ダボス
会議開幕へ、「時代遅れの資本主義」の変革求められるエリートたち>の記事を出
し、以下を伝えた。
1)今回のダボス会議では、世界の政財界の指導者らが「時代遅れで崩壊しつつあ
る」資本主義システムを改革する方策を早急に見つけ出すよう求められるだろう。
2)クラウス・シュワブ会長は、「われわれは全面的な倫理感の断絶があり、過剰レ
バレッジに陥っており、未来に投資することをおそろかにし、社会の統一性を弱体
化させ、そして未来の世代からの信頼を完全に失う危険にさらされている」と述
べ、「時代遅れで崩壊しつつあるモデルで問題を解決しようとしても、さらに深み
にはまるだけだ。われわれは旧態依然とした考えではなく、新しい発想が不可欠な
変革の時代にいる。今の形の資本主義がわれわれの世界に存在する余地はない」と
語っている。
3)5日間の日程のダボス会議に集まるのは、国や政府の首脳40人を含む政財界の
リーダー約1600人。それぞれが、新たなアイデアを提示することを求められて
いる。
4)チュニジアのジェバリ新首相やエジプトの大統領候補ムーサ氏、メキシコからは
カルデロン大統領、ナイジェリアからジョナサン大統領、南スーダンからマヤルディ
大統領が出席する。
5)会議開催地の警備にはスイス軍兵士5000人以上が動員され、ダボス周辺の空
域は期間中厳しく規制される。
6)「オキュパイ世界経済フォーラム(Occupy WEF)」の抗議デモ参加者
たちは、ダボスの中心地にイグルー(ドーム状の家)をすでに建設済みで、「自称
エリートたち」に対する抗議行動を計画している。
26日付の毎日新聞は、今年のテーマは「資本主義の再構築」であり、金融の暴走
や高止まりする失業率など随所で行き詰まる資本主義のあり方を考え直そうという問
題提起だと整理して伝えた。また主要国首脳の参加はメルケル独首相とキャメロン英
首相くらいで、今年は米仏露が大統領選挙で、中国も指導部が交代するため出席を見
送ると付け加えて報じた。
ダボス会議開幕へ、「時代遅れの資本主義」の変革求められるエリートたち
(AFP24日)
http://www.afpbb.com/article/economy/2852798/8325687?utm_source=afpbb&utm_medium=topics&utm_campaign=txt_topics
ダボス会議:資本主義テーマ スイスで開幕(毎日新聞26日)
http://mainichi.jp/select/biz/news/20120126ddm007030098000c.html
▽菅直人前首相「原発に関する国際ルール作り」個人的な主張
日本の野田首相は、ダボス会議に宛ててビデオメッセージを寄せた。26日に放映
された。内容は、時事通信によると、日本の急速な高齢化や欧州の債務危機に触れ、
「日本で持続可能な社会保障制度を構築し、財政規律を維持するための大きな改革を
必ずや実現する」と述べ、消費増税を含む社会保障と税の一体改革の実現を国際社会
に改めて約束するもの。野田氏はビデオメッセージで、東日本大震災後に対する世界
各国の支援に謝意を表明し、東京電力福島第1原発事故について「原子炉の冷温停止
状態を達成し、もはや日本でビジネスを行う大きな障害とはなっていない」とも訴え
た。
また朝日新聞によると、26日、ダボス会議出席の菅直人前首相は記者団に対し
て、核兵器に関しては国際原子力機関(IAEA)など国際的な監視の枠組みがある
一方、原発については「核兵器への転用を除けば各国に任されている」と指摘し、原
発の安全性や人的ミス、テロ対策、核燃料の最終処分地などに関し、「国際的な議論
が必要だ」と語っている。
この原発に関する「国際ルール作り」について、前首相は「そうした(原発事故と
いう)経験をした前首相としての私の考えだ」と述べ、日本政府の見解ではなく個人
的な主張だと説明している。
野田首相、一体改革「必ず実現」=ダボス会議にメッセージ(時事通信27日)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120127-00000017-jij-pol
原発、国際ルール必要=ダボス会議で菅前首相(時事通信〜朝日新聞27日)
http://www.asahi.com/international/jiji/JJT201201260158.html
▽渡辺謙氏「再生エネルギーに大きく舵を取らなければ、子供たちに未来を手渡すこ
とはかなわない」
ダボス会議初日の25日、俳優の渡辺謙氏がスピーチで「絆」の大切さを強調し
た。26日には東日本大震災をテーマとした会合では震災時に首相として危機管理対
応に当たった菅直人前首相が報告した。
渡辺氏はスピーチで、「被災地の人たちは震災で多くのものを失いました。しか
し、そこには人が人を救い、支え合い、寄り添う行為がありました」と述べて、世界
で起きるさまざまな危機に立ち向かっていくためには、人々の「絆」が大切だと訴え
た(→NHK)。
また原子力発電については、「国は栄えて行くべきだ、経済や文明は発展していく
べきだ、人は進化して行くべきだ。私たちはそうして前へ前へ進み、上を見上げて来
ました。しかし度を超えた成長は無理を呼びます。日本には「足るを知る」という言
葉があります。自分に必要な物を知っていると言う意味です。人間が一人生きて行く
為の物質はそんなに多くないはずです。こんなに電気に頼らなくても人間は生きて行
けるはずです。「原子力」という、人間が最後までコントロールできない物質に頼っ
て生きて行く恐怖を味わった今、再生エネルギーに大きく舵を取らなければ、子供た
ちに未来を手渡すことはかなわないと感じています」と語った(→東京新聞)。
渡辺謙さん「被災地と世界つなげる」、ダボス会議で会見(ロイター26日)
http://jp.reuters.com/article/domesticJPNews/idJPTYE81K0PF20120126
渡辺謙さん ダボス会議で絆を訴え(NHK26日)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120126/k10015540341000.html
【渡辺謙さん、ダボス会議スピーチ全文】渡辺謙さん、ダボス会議でスピーチ 原子
力からの転換訴える(東京新聞26日)
http://www.tokyo-np.co.jp/feature/news/davos.html
▽世界の投資家が資本主義は危機的な状況にあると考え、
約3分の1が資本主義の抜本的な改革を支持=ブルームバーグ調査
ブルームバーグは23、24の両日、ブルームバーグのユーザー1209人(世界
の投資家やアナリスト、トレーダーなど)を対象に四半期調査「ブルームバーグ・グ
ローバル・ポール」を実施した。
それによると、世界の投資家が資本主義は危機的な状況にあると考えており、約3
分の1が資本主義の抜本的な改革を支持していることがわかった。大半の回答者が、
所得の不均衡が経済に打撃を与えており、この問題に取り組むため各国政府は何らか
の行動を起こす必要があると答えた。
ブルームバーグはこの調査結果を報じる記事で、上記の考え方は<「占拠せよ」を
スローガンに世界各地に広がった抗議行動の中心にある考え方だ。回答者は金融業界
が社会で役割を果たしていると主張しているものの、銀行が政府に対して影響力を及
ぼし過ぎているという指摘はある程度事実だとみている人の割合は70%に上ったこ
とを紹介した。
回答者の70%以上が、資本主義は困難な状況にあるとみており32%が「規則と
規制の抜本的な改革」が必要と答えた。39%が混乱は自然に収まると予想。資本主
義は機能していると回答したのは25%未満だった。また回答者の70%が欧州の経
済問題が今年、暴動などの社会不安を引き起こすと予想しているという。
記事によると回答者の一人、ブローカーのFXプロ・ファイナンシャル・サービシ
ズ(ロンドン)のチーフストラテジスト、マイケル・ダークス氏は電子メールで「欧
米経済では所得と富の配分の不均衡が大きく、さらに拡大しているため資本主義は危
機的な状況にあり、世代間の格差も対立を生み出している」と指摘。「若い世代に投
資しなければ経済は生き残ることができない。政府による大規模な介入が必要だ」と
述べている。
また、回答した米国の投資家459人は、他のシステムよりも資本主義を最も選好
したが、約20%が徹底的な見直しが必要と考えていることもわかった。
米国の回答者は、所得の不均衡への対策として政府が行動を取ることに他の地域と
比較して慎重な姿勢を示しており、50%が政府介入は妥当ではないとみている、と
した。
また欧州の投資家のうち75%以上、アジアでは80%以上が、この問題について
政府の役割を期待している、という。
所得の不均衡については、全体の50%以上が所得の不均衡は経済成長を阻害する
と回答し、約70%がこの問題への対処に向け政府の役割を期待している。48%は
長期間にわたって取り組む問題であると考えており、早急に行動を取る必要があると
答えたのは20%未満だった。
この点について調査に参加したナティクシス・セキュリティーズ(ニューヨーク)
のディレクター、スティーブ・モートン氏は、「貧富の格差が大きく、さらに拡大し
ている。不健全だと思う。ピラミッドの底辺の人々は、物を買い経済を持続させるた
めの資金を持っていない」と指摘している。
またこの調査では、金融業界の現在の姿勢について、70%がバンカーの行動は欲
望に突き動かされ経済を阻害しているという指摘には少なくとも一理あると考えてい
るほか、銀行の業績が思わしくないにもかかわらず、一部のバンカーが多額の賞与を
得ているという主張にある程度共感する人の割合は80%以上に上ったという。
大き過ぎてつぶせなくならないよう、銀行は規制される必要があるとの指摘に完全
に反対の立場を示した回答者は14%だけだったという。
金融業界の現状について、国際労働組合総連合(ITUC)のシャラン・バロウ総
書記は、ダボス会議のパネル討論会で「影響力が強過ぎる。リセットする時期だ」と
指摘して、「大き過ぎてつぶせない一団ができれば、それは地球上で強力過ぎる一団
だということを意味する。金融業界は道徳的指針を失っている」(ブルームバーグ)
と語っている。
ブルームバーグはこの調査結果のほかに27日、社説「ダボス会議に集結の政財界
エリート、繁栄維持へ中身ある議論を」を出して、<年次総会に参加している資産家
やバンカー、政治家がこの会議から一つの洞察を引き出すとすれば、それは、西洋文
明は短期的利益と長期的利益のバランスを取るという点において破滅的失敗の瀬戸際
にあるということだろう>と指摘し、<ダボスに集まった政財界のエリートには、私
利私欲を退け、経済的繁栄を維持するために不可欠な問題の解決に自身の立場に応じ
て取り組む多くの理由がある。話し合いしかしない選択をすれば、失望は深く激しく
広がることだろう>と結んで、正しい方向の模索と正しい方向への具体策の共有を呼
びかけ、またその実践に足を踏み出すことを求めた。
資本主義は危機的な状況−世界の投資家、所得の不均衡の弊害認める
(ブルームバーグ26日)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-LYDP2K07SXKY01.html
ダボス会議に集結の政財界エリート、繁栄維持へ中身ある議論を−社説(同27日)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-LYFQ7D1A74E901.html
[JCJふらっしゅ]
http://archive.mag2.com/0000102032/index.html
まぐまぐID:0000102032/不定期刊(ほぼ日刊)購読無料/plain_text
・発行所/JCJふらっしゅ編集部 http://archive.mag2.com/0000102032/index.html
編集発行人@junzo_kowashi http://junzo.seesaa.net/
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スイス東部のダボスで世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)が
開催されている。42回目で日程は25〜29日。時事通信によるとドイツのメルケ
ル首相、キャメロン英首相、ガイトナー米財務長官、国際通貨基金(IMF)のラガ
ルド専務理事らが討論会に参加する。
世界の政財界の指導者たちは、いまや「時代遅れ」で「崩壊しつつある」資本主義
のシステムを改革する方策を、早急に見つけ出すことができるかが問われている。
日本の野田首相は欠席し、菅直人前首相に代理としての出席を要請、菅氏が東日本
大震災からの復興や東京電力福島第1原発事故の現状を報告することになった。ま
た、海外でも活躍する映画俳優の渡辺謙氏は、被災地を繰り返し訪れ、またハリウッ
ドスターにも呼びかけて被災者を励ますためのサイトを立ち上げるなどしてきた。日
本の俳優として初めて招待を受けた。東日本大震災の復興などについて話すほか、震
災から1年に向けて渡辺さん自身が被災地での復興の動きを取材し、NHKが共同制
作に参加したドキュメンタリーがダボス市内で上映される。
資本主義の改革議論=スイスでダボス会議、25日開幕(時事通信〜朝日新聞20日)
http://www.asahi.com/international/jiji/JJT201201200077.html
▽シュワブ会長「今の形の資本主義がわれわれの世界に存在する余地はない」
AFPはダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)開幕の前日24日、<ダボス
会議開幕へ、「時代遅れの資本主義」の変革求められるエリートたち>の記事を出
し、以下を伝えた。
1)今回のダボス会議では、世界の政財界の指導者らが「時代遅れで崩壊しつつあ
る」資本主義システムを改革する方策を早急に見つけ出すよう求められるだろう。
2)クラウス・シュワブ会長は、「われわれは全面的な倫理感の断絶があり、過剰レ
バレッジに陥っており、未来に投資することをおそろかにし、社会の統一性を弱体
化させ、そして未来の世代からの信頼を完全に失う危険にさらされている」と述
べ、「時代遅れで崩壊しつつあるモデルで問題を解決しようとしても、さらに深み
にはまるだけだ。われわれは旧態依然とした考えではなく、新しい発想が不可欠な
変革の時代にいる。今の形の資本主義がわれわれの世界に存在する余地はない」と
語っている。
3)5日間の日程のダボス会議に集まるのは、国や政府の首脳40人を含む政財界の
リーダー約1600人。それぞれが、新たなアイデアを提示することを求められて
いる。
4)チュニジアのジェバリ新首相やエジプトの大統領候補ムーサ氏、メキシコからは
カルデロン大統領、ナイジェリアからジョナサン大統領、南スーダンからマヤルディ
大統領が出席する。
5)会議開催地の警備にはスイス軍兵士5000人以上が動員され、ダボス周辺の空
域は期間中厳しく規制される。
6)「オキュパイ世界経済フォーラム(Occupy WEF)」の抗議デモ参加者
たちは、ダボスの中心地にイグルー(ドーム状の家)をすでに建設済みで、「自称
エリートたち」に対する抗議行動を計画している。
26日付の毎日新聞は、今年のテーマは「資本主義の再構築」であり、金融の暴走
や高止まりする失業率など随所で行き詰まる資本主義のあり方を考え直そうという問
題提起だと整理して伝えた。また主要国首脳の参加はメルケル独首相とキャメロン英
首相くらいで、今年は米仏露が大統領選挙で、中国も指導部が交代するため出席を見
送ると付け加えて報じた。
ダボス会議開幕へ、「時代遅れの資本主義」の変革求められるエリートたち
(AFP24日)
http://www.afpbb.com/article/economy/2852798/8325687?utm_source=afpbb&utm_medium=topics&utm_campaign=txt_topics
ダボス会議:資本主義テーマ スイスで開幕(毎日新聞26日)
http://mainichi.jp/select/biz/news/20120126ddm007030098000c.html
▽菅直人前首相「原発に関する国際ルール作り」個人的な主張
日本の野田首相は、ダボス会議に宛ててビデオメッセージを寄せた。26日に放映
された。内容は、時事通信によると、日本の急速な高齢化や欧州の債務危機に触れ、
「日本で持続可能な社会保障制度を構築し、財政規律を維持するための大きな改革を
必ずや実現する」と述べ、消費増税を含む社会保障と税の一体改革の実現を国際社会
に改めて約束するもの。野田氏はビデオメッセージで、東日本大震災後に対する世界
各国の支援に謝意を表明し、東京電力福島第1原発事故について「原子炉の冷温停止
状態を達成し、もはや日本でビジネスを行う大きな障害とはなっていない」とも訴え
た。
また朝日新聞によると、26日、ダボス会議出席の菅直人前首相は記者団に対し
て、核兵器に関しては国際原子力機関(IAEA)など国際的な監視の枠組みがある
一方、原発については「核兵器への転用を除けば各国に任されている」と指摘し、原
発の安全性や人的ミス、テロ対策、核燃料の最終処分地などに関し、「国際的な議論
が必要だ」と語っている。
この原発に関する「国際ルール作り」について、前首相は「そうした(原発事故と
いう)経験をした前首相としての私の考えだ」と述べ、日本政府の見解ではなく個人
的な主張だと説明している。
野田首相、一体改革「必ず実現」=ダボス会議にメッセージ(時事通信27日)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120127-00000017-jij-pol
原発、国際ルール必要=ダボス会議で菅前首相(時事通信〜朝日新聞27日)
http://www.asahi.com/international/jiji/JJT201201260158.html
▽渡辺謙氏「再生エネルギーに大きく舵を取らなければ、子供たちに未来を手渡すこ
とはかなわない」
ダボス会議初日の25日、俳優の渡辺謙氏がスピーチで「絆」の大切さを強調し
た。26日には東日本大震災をテーマとした会合では震災時に首相として危機管理対
応に当たった菅直人前首相が報告した。
渡辺氏はスピーチで、「被災地の人たちは震災で多くのものを失いました。しか
し、そこには人が人を救い、支え合い、寄り添う行為がありました」と述べて、世界
で起きるさまざまな危機に立ち向かっていくためには、人々の「絆」が大切だと訴え
た(→NHK)。
また原子力発電については、「国は栄えて行くべきだ、経済や文明は発展していく
べきだ、人は進化して行くべきだ。私たちはそうして前へ前へ進み、上を見上げて来
ました。しかし度を超えた成長は無理を呼びます。日本には「足るを知る」という言
葉があります。自分に必要な物を知っていると言う意味です。人間が一人生きて行く
為の物質はそんなに多くないはずです。こんなに電気に頼らなくても人間は生きて行
けるはずです。「原子力」という、人間が最後までコントロールできない物質に頼っ
て生きて行く恐怖を味わった今、再生エネルギーに大きく舵を取らなければ、子供た
ちに未来を手渡すことはかなわないと感じています」と語った(→東京新聞)。
渡辺謙さん「被災地と世界つなげる」、ダボス会議で会見(ロイター26日)
http://jp.reuters.com/article/domesticJPNews/idJPTYE81K0PF20120126
渡辺謙さん ダボス会議で絆を訴え(NHK26日)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120126/k10015540341000.html
【渡辺謙さん、ダボス会議スピーチ全文】渡辺謙さん、ダボス会議でスピーチ 原子
力からの転換訴える(東京新聞26日)
http://www.tokyo-np.co.jp/feature/news/davos.html
▽世界の投資家が資本主義は危機的な状況にあると考え、
約3分の1が資本主義の抜本的な改革を支持=ブルームバーグ調査
ブルームバーグは23、24の両日、ブルームバーグのユーザー1209人(世界
の投資家やアナリスト、トレーダーなど)を対象に四半期調査「ブルームバーグ・グ
ローバル・ポール」を実施した。
それによると、世界の投資家が資本主義は危機的な状況にあると考えており、約3
分の1が資本主義の抜本的な改革を支持していることがわかった。大半の回答者が、
所得の不均衡が経済に打撃を与えており、この問題に取り組むため各国政府は何らか
の行動を起こす必要があると答えた。
ブルームバーグはこの調査結果を報じる記事で、上記の考え方は<「占拠せよ」を
スローガンに世界各地に広がった抗議行動の中心にある考え方だ。回答者は金融業界
が社会で役割を果たしていると主張しているものの、銀行が政府に対して影響力を及
ぼし過ぎているという指摘はある程度事実だとみている人の割合は70%に上ったこ
とを紹介した。
回答者の70%以上が、資本主義は困難な状況にあるとみており32%が「規則と
規制の抜本的な改革」が必要と答えた。39%が混乱は自然に収まると予想。資本主
義は機能していると回答したのは25%未満だった。また回答者の70%が欧州の経
済問題が今年、暴動などの社会不安を引き起こすと予想しているという。
記事によると回答者の一人、ブローカーのFXプロ・ファイナンシャル・サービシ
ズ(ロンドン)のチーフストラテジスト、マイケル・ダークス氏は電子メールで「欧
米経済では所得と富の配分の不均衡が大きく、さらに拡大しているため資本主義は危
機的な状況にあり、世代間の格差も対立を生み出している」と指摘。「若い世代に投
資しなければ経済は生き残ることができない。政府による大規模な介入が必要だ」と
述べている。
また、回答した米国の投資家459人は、他のシステムよりも資本主義を最も選好
したが、約20%が徹底的な見直しが必要と考えていることもわかった。
米国の回答者は、所得の不均衡への対策として政府が行動を取ることに他の地域と
比較して慎重な姿勢を示しており、50%が政府介入は妥当ではないとみている、と
した。
また欧州の投資家のうち75%以上、アジアでは80%以上が、この問題について
政府の役割を期待している、という。
所得の不均衡については、全体の50%以上が所得の不均衡は経済成長を阻害する
と回答し、約70%がこの問題への対処に向け政府の役割を期待している。48%は
長期間にわたって取り組む問題であると考えており、早急に行動を取る必要があると
答えたのは20%未満だった。
この点について調査に参加したナティクシス・セキュリティーズ(ニューヨーク)
のディレクター、スティーブ・モートン氏は、「貧富の格差が大きく、さらに拡大し
ている。不健全だと思う。ピラミッドの底辺の人々は、物を買い経済を持続させるた
めの資金を持っていない」と指摘している。
またこの調査では、金融業界の現在の姿勢について、70%がバンカーの行動は欲
望に突き動かされ経済を阻害しているという指摘には少なくとも一理あると考えてい
るほか、銀行の業績が思わしくないにもかかわらず、一部のバンカーが多額の賞与を
得ているという主張にある程度共感する人の割合は80%以上に上ったという。
大き過ぎてつぶせなくならないよう、銀行は規制される必要があるとの指摘に完全
に反対の立場を示した回答者は14%だけだったという。
金融業界の現状について、国際労働組合総連合(ITUC)のシャラン・バロウ総
書記は、ダボス会議のパネル討論会で「影響力が強過ぎる。リセットする時期だ」と
指摘して、「大き過ぎてつぶせない一団ができれば、それは地球上で強力過ぎる一団
だということを意味する。金融業界は道徳的指針を失っている」(ブルームバーグ)
と語っている。
ブルームバーグはこの調査結果のほかに27日、社説「ダボス会議に集結の政財界
エリート、繁栄維持へ中身ある議論を」を出して、<年次総会に参加している資産家
やバンカー、政治家がこの会議から一つの洞察を引き出すとすれば、それは、西洋文
明は短期的利益と長期的利益のバランスを取るという点において破滅的失敗の瀬戸際
にあるということだろう>と指摘し、<ダボスに集まった政財界のエリートには、私
利私欲を退け、経済的繁栄を維持するために不可欠な問題の解決に自身の立場に応じ
て取り組む多くの理由がある。話し合いしかしない選択をすれば、失望は深く激しく
広がることだろう>と結んで、正しい方向の模索と正しい方向への具体策の共有を呼
びかけ、またその実践に足を踏み出すことを求めた。
資本主義は危機的な状況−世界の投資家、所得の不均衡の弊害認める
(ブルームバーグ26日)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-LYDP2K07SXKY01.html
ダボス会議に集結の政財界エリート、繁栄維持へ中身ある議論を−社説(同27日)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-LYFQ7D1A74E901.html
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